ほとんど夏休みの枯れ相場で動くはずもないと思われたNYタイムでしたが、昨晩突如としてドル円が跳ね上がり、ユーロドルが蹴落とされるような動きがFX市場で示現することとなりました。
米労働省が発表した6月の求人労働移動調査(JOLTS)によると、求人件数は前月比46万1000件増の616万3000件で、統計を開始した2000年12月以降で最高を記録したことが原因となったのです。
確かにマクロ的に見れば求人件数が増えているのは労働市場の力強さを示していることになりますが、問題はその中身で単価の安いパートタイムジョブだけが増えたところで「インフレ」や消費支出の改善にはつながらないのではないかと思いますが、市場はこれを好感した形で「FRB」が金融引締めを継続する可能性が高いとしてドル円が上昇し、ユーロドルは大幅下落となったわけです。
FX市場では滅多なことでは「JOLTS」の結果に反応することはありませんから、相当意外な動きになったことは間違いありませんが、市場に材料がないとなるとこのような動きが示現することもあるというわけです。
JOLTSTの数字はそれほどすばらしい数字なのか?
今回発表された「JOLTST」の調査結果では、、専門職・ビジネスサービスが17万9000件増。ヘルスケア・社会扶助セクターが12万5000件、建設が6万2000件それぞれ増加しており、地域別では、求人は中西部と西部に集中しているのが特徴となっています。
自発的な離職は310万件と、前月の320万件から減少しており労働市場に対する信頼感を測る指標として「FRB」が注目している離職率は2.2%から2.1%に低下しているとは言うものの、毎月コンスタントに300万人以上が辞めているわけですから、誤差範囲にしか見えない状況です。
レイオフは170万件で2万8000件増ですから、相変わらず辞めさせるところはそれなりにコンスタントにレイオフを行なっていることがわかります。
日本に比べればはるかに大きな国ですから、様々な職種に求人ニーズがあることは間違いありませんが、これが果たしてすばらしくいい雇用環境になっているといえるのかどうかは正直なところよくわからない状況です。
FRBの金融政策の変更は単なる金融機関救済か
「FOMC」のメンバーは実に様々なことを講演で発言し、その政策決定にはかなり多岐にわたる材料が判断要素になっているかのような印象を市場に与えていますが、実際のところは本当にそんなに精査して決めているのか疑いたくなる ような動きが続いています。
9月にもはじめようとしている資産縮小の問題は本来ならば慌てて行なうようなことではないはずなのですが、結局銀行が長短金利差でなんとかやっていけるように「長期金利を上げてやりたい」という配慮が働いていることはどうも間違いがないようで、「金融政策」というよりは金融機関救済政策の側面が足元の動きを加速させているように見えます。
(この記事を書いた人:今市太郎)