いよいよ株にも為替にもそれなりの大きな調整が入る局面がやってきています。
8月前半はまったく調整の様子もなかったことから、今年は異例の「アノマリー」無視の相場が展開するのかと思われましたが、北朝鮮ネタだけでFX市場もかなりの調整がでることとなってしまいました。
米国の株式市場から始まった大きな調整は日経平均にも影響を与え、FX市場ではドルが軒並み売られる形となっていますが、109円を割れてもすぐに走る相場にまでは至っておらず、なかなか微妙な動きになってきています。
ここから事実としてミサイルの発射や米国と北朝鮮の戦闘が行なわれるような最悪の事態に進展すれば、FX市場でも一段の下げを覚悟しなくてはならない状況になりつつありますが、果たして今回のトランプと金正恩の応酬がどこまで現実のものになるのかがいまひとつわからない状態であり、底値に近いところで売りについていくのもかなり気が引ける状況です。
ドル円一旦の下値は108円レベルだが・・
チャートをご覧いただくとお分かりの通り、108円台は今年2回下値を停められていることから、レベル感から買いをいれてきている投資家もかなり多くなっているようで、下げにくくなっていることは事実です。
しかし、逆にロングがたまり始めていることから上げも限定的でほとんど戻らない相場が続いています。
FX市場の場合にはロングがたまりすぎると逆に崩れるのか相場の鉄則ですから、ここからさらに下落するのかどうかが非常に注目されることになりそうです。
ドル売りの主体はまたしても対円から対ユーロに移りつつあるようにもみえており、このタイミングにユーロが一段の上昇を果たす可能性も出始めてきています。
北朝鮮ネタは下値追いの短期投機筋のいい材料に使われている
確かに北朝鮮リスクを市場が嫌気していることは間違いありませんが、ある意味で8月の「アノマリー」とも微妙な化学変化を起こしている感じで、下げの大義名分としてうまく使われてしまっている状況ともいえます。
結局トランプはなにもしないのではないかという投機筋の見方も広がっており、下げについていくのもある程度のレベルにとどめておく必要がありますが、底値での買いは十分にひきつける必要もありそうですし、本当にここでICBMの発射が示現してしまいますと、あっさり107円台方向をドル円は下抜けるリスクは残っており、あまり楽観視もできない状況です。
ここからは一定のほとぼりが冷めるまでの日柄調整も必要になってきそうですが、買い下がるのであればそれなりの値幅で買い向かう覚悟が必要になりそうです。
本格的な暴落はまだ先
Data Investing com
債券金利のほうに目をやりますと、株が売られた反面、リスク回避資産から米債は買われており、この動きを見る限り株価もここから大きく暴落ということにはならなさそうな状況です。やはりおかしくなるのはこの金利が上昇しはじめるところですから、今後も引き続き金利の動きから目が離せません。
ただ、投資家心理というものはなかなか微妙なもので、上昇する過程ではもっと上がるのではないかと思う半面、下落すると思い始めると、止め処もなく下落リスクが気になるものですから、市場の心理だけで予想以上に相場が下押ししてしまうというのも否定はできません。
少なくとも来週日本がお盆明けになるまではそれなりの下押しを覚悟する必要がありそうですが、底を見極めることができればFX市場は反転する可能性もありそうで、なかなか微妙な判断を求められる時間帯が続きます。
いまの動きが8月の「アノマリー」に適合しているのかどうかはわかりませんが、やはりこの時期相場はそれなりの調整をするものだということだけは今年も変わらないようです。
(この記事を書いた人:今市太郎)