FX市場におけるドル円は今年かなり動いた印象がありますが、ここまでは「昨年のほぼ半分の10円程度」で昨年に比べるとほぼ半分ぐらいしか動いていない状況です。
すでに今年も半分以上終了していますから、ここからの動きがどうなるのかは非常に気になるところです。FXはお盆で閑散なのに下落相場が続いていますが、お休みだからこそこの先の相場の動きについて考えて見たいと思います。
また今年最安値に近づいたドル円
上のドル円週足のチャートを見ますと、昨年11月に101円に近いところから年末一気に118.650円まで上昇したので”えらく動いた”ような印象がありますが、年初はそれを超えることができず、下値も108.128円でちょうど足もとでの下落がこれを下抜けるかどうかが大きなポイントになりつつあります。
いまのところ10円幅での動きであり、実は年末のトランプ相場で一年分をすでにやってしまった状態であることが見えてきます。
米債の10年もの金利の推移からみますと、よほど特別な事態が起こらない限り、ここからドル円がさらに売り込まれるのはなにか明確な材料がない限りかなり難しそうで、むしろ金利上昇に合わせて上昇するリスクのほうが高そうにみえます。
ただ、年間20円程度今年も動くとなると、118円を超えて上昇するのも相当至難の業で、20円幅を考えればやはり下方向になることは意識しておかなくてはなりません。
118円超があるとすれば債券金利の上昇か
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債券市場の利率の動きからドル円を見直して見ますと、昨年末と今年1月に118円台をつけたときには、債券金利も2.6%近くまで跳ね上がっております。したがって118円を超えるようなドル円の動きがでるとすれば、応分の債券金利の上昇が必須の状況となりそうです。
たとえば10年債金利が3%を超えるような事態になれば、瞬間的にでもドル円は120円方向に跳ね上がる可能性があるということになります。
これまでのFXコラムでも指摘させていただいているように、債券バブルが崩壊して価格が大きく下がることになれば金利は跳ね上がることとなりますので、年末にかけてはこのリスクのほうがかなり高くなるのではないでしょうか。
ここからはFXのチャートだけでなく、常に債券金利の動向をチェックしながらその方向性をさぐることを心がけたいところです。
想定外は米国政府によるドル高けん制
FXにおけるドル円相場で想定外の動きがでるとすれば、「米国政府からのドル高へのけん制発言」がもっとも注意すべきものになります。
こればかりはどのタイミングに一体どのような言い方でけん制されるかまったく想定できませんが、なにしろ「プラザ合意に似たものを履行できないか」、と言った発言をする学者まで呼んで検討会を行なっているということですから、思わぬ方で合意が結ばれるようなことになれば、かなりドルを中心とした為替水準が変更されるリスクもあり、ドルの上昇局面ではかなり注意が必要になりそうです。
足もとの110円割れのレベルをトランプがドル高と受け取るのかどうかはまったくわかりませんが、少なくとも過去に75円近辺までドル安が進んだことがある以上、100円程度を適正と考える可能性は十分にありそうで、この領域に関する秋口からの米国の発言にも注目していきたい状況です。
また想定外ということでいえば、これも今年起こるのかどうかはまったく断定できませんが、米国の株式市場の暴落があれば簡単に100円を切る下落になるリスクも残されています。
通常この手の暴落はドル円の価格がどのレベルで起きるかによっても下落幅が異なりそうですが、一般的には簡単に10円以上の下落がでることは覚悟しておかなくてはならず、一番の想定外としてこれも頭の片隅においておく必要があります。
9月になれば米国は実に景気拡大99ヶ月に入りますから、何がきっかけになるにせよ大幅な株価の下落はここからいつ起きても不思議ではありません。
おそらく実際に大きな下落がでるのは北朝鮮のような問題ではないものと思われますが、それが何になるのかはまだ予想できない状況です。お盆明けからの相場は以上のような点を考慮しながら売買されてみてはいかがでしょうか?
(この記事を書いた人:今市太郎)