またまた米国市場は「債務上限問題」がクローズアップされてきました。
まだ9月に入ってからの問題ではありますが、トランプ大統領が22日に政府機関が閉鎖になったとしてもメキシコ国境に壁を建設すると発言したことがきっかけとなり、債務上限問題が本当に大丈夫なのかという疑心暗鬼につながり始めているのです。
トランプ発言はある意味脅かしとして登場してきているわけですが、こういう内容を政治の駆け引きに使うのもいかがなものかとは思いますが、それがトランプのやり方といわれてしまえば仕方がありません。ただ、この動きに対して国債の格付けを下げる動きが出る可能性が高まりつつあります。
毎年起きている話だけに驚くほどのことではないという見方もありますが、今回は意図的に政府機関を閉鎖させることになるかもしれず、トランプがもたらすリスクがかなり嫌気されはじめていることは確かのようです。
国債格下げ~債券金利上昇は株価大幅下落の可能性
債券の格付けというのは、下がったから急に大騒ぎになるかといえば必ずしもそうではありません。とくに先進国の場合はそんなに話は簡単ではありません。
2014年に日本国債の格下げが起きたときには債券価格にはほとんど影響がなく、なんとこの時期に逆に円高が示現するという不思議な動きさえ出ているわけですから、事前の想定どおりに簡単に結果を予想するわけにはいかないといえます。
ただし、米国債に関して言えば2011年に1段階下げただけでも株価がもたずに大きく下げた経緯がありましたがので、現状でこうしたことが起きれば相場下落のトリガーに使われる可能性は十分にありそうな状況といえます。
FRBの動きとも連動すれば相場暴落の引き金になる可能性も
9月はそうでなくても「FRB」の「金融政策」の行方が気になるところですし、トランプ政策への不信からこれまでの上昇相場のまき戻しも心配される状況で、なにがきっかけになって大きく相場が下落することになるのかはわからないのが正直なところになってきています。
それだけに債券金利が上昇して債券相場が崩れる展開は株価にもネガティブな影響を及ぼしますし、なにより一旦は上昇するであろうドル円も結局株価の下落に伴って大きく下落する可能性が高まることになります。
このあたりはFX相場の動きを実に煩雑にする材料となりそうで、かなり注意が必要になります。
冷静に考えれば下落リスクだらけのFX相場
債券金利が上昇してドル円が上昇することあったとしてもおそらくかなりの瞬間芸になることは容易に予想されます。その後に襲ってくる株式相場の大幅調整はNYダウに限らず日経平均にも影響を及ぼすことは必至の状況ですから、瞬間的なドル円の上昇もほとんど意味はなさそうです。
市場の様子はいよいよ変化しそうな様相を呈してきていますが、なにがきっかけで大きな動きになるのかは依然不透明であり、「北朝鮮ネタ」が先行するのか「債務上限ネタ」が前面にでてくるのかトランプリスク全体が相場を押し下げるのかが非常に見えにくくなってきています。
極端な話どれが飛び出しても”下落すること”を強く意識して売買することが必要になりそうです。ジャクソンホール明けの来週の相場は結構荒れそうな雰囲気で、株式市場が本格的に変調をきたす動きになると想像以上の調整がやってくるリスクを常に意識しておく必要があります。
妙な動きに巻き込まれないためには一旦様子を見て方向感がどういうふうに変化するのかを見極めるというのも重要な手段になりそうです。
少なくともここから9月にむけてのFX相場はこれまでの流れを大きく変える可能性がでてきていますから、あまり安易に考えないほうが余分な怪我をせずに済みそうです。
(この記事を書いた人:今市太郎)