北朝鮮のミサイル騒ぎで東京タイムに株も為替も大きく変動した市場でしたが、ロンドン勢は東京タイムの焼き直しで再度ドル円は下攻め、ユーロドルは大きく上値を試す形になりました。
NYタイムは当初NYダウも下落かと思われましたが短期間に下落をカバーして反転上昇となり、ドル円はそれを受けて延々と「ショートカバー」を繰り返し一時は109.903円近辺まで値を上げるという驚きの「ショートカバー」大会を繰り広げることになりました。
日米の市場で全く異なるセンチメント
まず北朝鮮のミサイル攻撃に関して本邦勢が理解しなくてはならなかったのが、日本と米国の市場における参加者のセンチメントの違いでした。
確かに日本は北からのミサイルの脅威に直面していますし、上空を通過してミサイルが着弾し、Jアラートなどという精度の低い警報システムも作動したわけですから、メディアが大騒ぎするのも仕方ない状況でした。
しかし、米国にとっては北海道の端の方に興味をもつ市場参加者は少なく、冷静に考えれば国の上を越えてミサイルが発射されたのはすでに都合5回目ですから、重大な関心をもってなどと時の総理が強調したのも、自らの学園疑獄事件のノイズレベルを払拭するためだったのではないかとも思える状況で、NY勢はむしろハリケーンの被害の方がより身近なリスクなってしまったようです。
これはNYダウの株価の戻り方にも現れており、結局ドル円は昨日の朝のミサイルが飛んでくる前のレベルよりはるかに上に方まで戻してNYタイムを終了しています。
チャートを見るとわかりますが、NYタイムはほぼ終日「ショートカバー」となってしまい、ほとんど緩むこともなく相場が戻ったことから昨日ショートをつくった人間のポジションはほぼすべて切らされることとなっています。
強烈だったのはドル円のみならずユーロドルも同様で、昨日東京タイムから上げはじめた相場は完璧に行って来いの状況にまで戻っています。
単発のミサイル発射ではFX相場に続きがない
この北朝鮮のミサイル発射問題は、一発発射するとその後米国が応戦するといった戦闘状態につながらない限り継続した変化が起こりにくいことから、東京タイムで起きたことがNYタイムまで持続しにくいという問題があるようです。
しかも米国の領土内に着弾しないかぎり関心が低いのもまた事実のようで、その関心レベルは本邦勢が考えているよりもかなり低いことが改めて確認できました。またトランプ大統領の声明も迫力のあるものではなく、自国がターゲットにならないかぎり本気にはならなさそうな雰囲気を醸し出していました。
このミサイル発射騒ぎは9月9日までまだ続きそうな嫌な予感がしますが、発射されただけでは今回と同じように一時的にリスクオフになりあとは元に戻るといった繰り返しになることも十分に考えておかなくてはならなさそうです。
ただし国内に本格的に着弾して被害がでれば状況はまた大きく変化しそうで「アルゴリズム」の初動は確実にドル安円高となり、その後は被害の状況次第という動きになりそうです。
引き続き戻り売りを優先
この9月相場は北のミサイル以外にもリスクが満載になってきていますから、とにかくドル円は戻りがあれば一旦は売ってみるという戦略を継続させざるを得ない状況です。
足元ではほとんどショートが切らされて、今度は簡単に下落しなさそうな状況ですが、値が十分に戻したところは相変わらずショートで立ち向かうことになりそうです。
下落というのは本当に一瞬の話ですから、ショートを仕込んでおくことで取れる利益はかなり大きくなることは今回のミサイル騒ぎでも実証されています。ただし、長続きはしませんから利益がでたらすぐにリカクしてしまうことも忘れないようにしなくてはなりません。
(この記事を書いた人:今市太郎)