そして「London Fix」に向けてそれまで岩盤の買いとされてきた「108.500円」があっさり割れる展開となり、108円割れすれすれまで下落したところで、「ショートカバー」が入り、なんとか108円台を維持する展開となっています。
本日の東京タイムはまた下値をささえる向きが登場して、簡単には108円は割れないのかもしれませんが、ここで108円を明確に割れてくることになるとドル円の世界は大きく変化することが予想されます。
週末に北朝鮮がなにを仕掛けてくるか次第の部分もありますが、FX市場は大きな変化に直面しつつあるようです。
108円が下抜けると次の明確な目標は105円台か
米国の債務上点問題は奇しくもハリケーンの被害のおかげで3ヶ月先送りとなり、一旦のリスクを乗り越える形となっていますから、ドル円にのしかかるリスクといえば足元ではとにかく北朝鮮問題に集中しつつあります。
日足のチャートを見ますと、この4月からとにかく108円台~114円台のレンジ相場が月替わりのペースで展開されてきたのですが、8月から9月のかけてはレンジの上方向へ戻るはずがそうはなってきておらず、下方向にレンジから離脱しはじめていることがわかります。
今回北朝鮮ネタでとこまで下押しするかですが、108円を日足の終値で明確に抜けるような動きになるとその下というのはあまりポイントがなくなってしまい、一旦は107.500円あたりがサポートになりそうですが、それをさらに抜けることになれば、その下にある「105円台中盤」が支えられないと101円まで戻ることもありそうな嫌な形になってきています。
ただ、この大幅な下抜けを示現する材料が果たして北朝鮮問題なのかどうかは依然としてはっきりしない状況です。
官製相場で株も為替も北の影響で大幅下落にはなっていない
北朝鮮リスクではずいぶんと相場が下落しているように見えますが、国内の株式市場とFXにおけるドル円を見てみますと依然レンジの中での動きであり、大幅下落で相場展開が大きく変わったようには見えません。
したがって週末ICBMが再度発射されたぐらいで、このレンジを本当に抜けてしまうのかどうかは実際に起きてみないとわからない部分がかなり大きくなりますが、とにかく抜ければ相当ドル円相場の様子が変わることは間違いなさそうです。
米国では新たな大型ハリケーンの脅威のほうが深刻なようで、株式相場はハリケーンへの懸念から下げるという始末で、かなり国内とはセンチメントが違うことがわかります。
とはいうものの、マクロ的には北朝鮮がミサイル発射の可能性といった報道が流れるたびに「アルゴリズム」が敏感に反応して相場を下押しすることになりますので、引き続き注意をしていく必要があります。
「中央銀行」の「金融政策」や株式相場の動向などと違って、北朝鮮問題は相手の出方次第だけの話で、かつ一回ネガティブなイベントが起きてもその後がどう続くかわからないだけに、下落の先の動きが読めない点が非常に困ります。
またショートが溜まりすぎれば、必ず定期的に「ショートカバー」もでていますから、なんでもいいから売っておけば必ず儲かるといったものではないことも大きな問題です。
これまでのケースを見ていますと、9月9日の建国記念日以降でもさまざまな北の挑発行為は続いてきた実績があり、10月末までこの展開が継続することも覚悟しておかなくてはならなさそうです。
ただ、決定的な事態にならないかぎり市場は相当北朝鮮ネタに飽きはじめていることだけは間違いありませんから、徐々に影響が小さくなることも予想されます。
9月20日の新月に米軍がなにか事を起こすのではないかという話も依然として出てきていますが、ドル円に限っていえばとにかく大きく戻したらすかさず売っておくことが最良の方法ではないでしょうか。
(この記事を書いた人:今市太郎)