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11日のFX市場・NYタイムはハリケーンの被害が限定的となったことや北朝鮮からの建国記念日に伴う軍事的なパフォーマンスがなかったことなどから、いきなり「リスクオフ」となりNYダウが2万2000ドルを回復したのにも支えられて、ドル円は大きく買い戻される結果となりました。
すでにほとんどのショートを炙り出す形で「109.500円」に近づくところまで上昇して取引を終了しています。
どこかで見たことのある光景
しかしこの大きな戻しは、つい最近も経験したことがあると思われた方も多いのではないでしょうか？
8月29日の朝、いきなり北朝鮮がミサイルを撃った日のNYタイムに大きな買戻しが入ったのと非常によく似た光景です。
北朝鮮に関してはなんら状況は変わっていないのですが、NY勢のセンチメントは本邦勢とは大きく異なりハリケーンの被害がでなかった方がより大きく反応したともいえます。
また昨日は「9・11」という日柄でもありましたので、心情的にドル買いになったなどという話もちらほら出ていました。しかしさすがに109.500円レベルから上には上伸できなかったのもまた事実で、戻りの限界を感じさせる動き担ったともいえる状況です。
北朝鮮ネタは毎回この行って来い相場が登場するのがなんとも不愉快ですが、かといってどこで次のミサイルが発射されるかもわかりませんから、迂闊に買いで入るのも相当躊躇われるものがあります。
ドル円に比べユーロドルの落ち込みは限定的
一方ドル円に比べてユーロドルは大きく値を下げてはおらず、1.19台中盤で下値は抑えられている状況です。
やはりユーロは下げれば押し目を買いたい市場参加者がかなり多いようで、まだまだ上昇の可能性を秘めているともいえそうな動きになってきています。
リスクイベントが収まればまたドル安が見えてくる
ただ、毎回申し上げているとおり、ここからドル円がどんどん上昇していく材料はほとんどないのが実情で、確かにここまで上昇すると110円をつっかけるところあたりまでは戻る可能性は否定できませんが、ドル円が上昇に転じたと判断するのはさすがに拙速といえる状況です。
北朝鮮問題が落ち着き、ハリケーンが去るとやはり顕在化してくるのはトランプ政権の問題で、中央銀行の対応の先行きも大きな注目点として戻ってくることになりそうです。
巷では「イエレンとトランプの娘のイヴァンカが会食がてら会談した」というニュースも伝わってきていますが、娘がイエレンの続投の意思を確認した可能性もあり、「FRB」議長の人事と空席になっている「FOMC」メンバーの補充の問題もFXの相場には大きな影響を与えそうです。
それにしても能天気な米国株式市場
一応現象的なリスクが遠ざかったとはいえ、あっという間にNYダウは2万2000ドル台を回復するわけですから、このゴルディロックス相場は相当な楽観相場であることに改めて驚かされます。
こういう雰囲気になると相当警戒していた投資家でもさらに相場が上昇するのではないかという錯覚から妙に強気に転じてしまうことが多くバブル相場の最後は大きく走っていきなり下落することが多くなりますが、長く相場の動きを見ていますと、ここからこの不思議な上昇に乗っていくのは相当リスクが高く、少なくとも様子をみるべきタイミングにさしかかっていることは間違いありません。
もちろん「スキャルピング」のようなFX手法ならあまり気にせず売りでも買いでも取れるところはとりにきけば全く問題はないと思いますが、一定の期間ポジションをもつつもりなら、少し冷静に様子を見ることが必要になりそうです。
ドル円の場合108円割れを起こしたとからあわててドテンで買いから、売りに切り替えた方も多かったようですが、こうした相場状況ではそれもまた切らされてしまい、またしても8月末の全値戻し以上のFX相場の再来を味わってしまった方も多いことと思います。
しかしここは一旦損切りをして、再度売り場を探すという方法がもっとも正しいトレードの仕方になるものと思われますので、決して諦めずに売買を続けていただきたいと思います。
（この記事を書いた人：今市太郎）
