ドル円が急激な「ショートカバー」でとうとう110円台を示現しはじめています。
ギャップを埋めるのではないかとショートを持っていた向きは、さすがに我慢できずに損切りを強いられたのではないかと思う相場状況です。
この手の動きの場合、「イベントドリブン」ファンドが北朝鮮の建国記念日にあわせて過度にドル円を売り込んで下げておいて、何もなければ逆に買い上げるかたちでショートを炙り出すという特有のやり方に基づくものがほとんどです。
たしかに一部のファンドやインターバンクが買い上げているのでしょうが、相場が上昇しているのは次々ショートが切らされているのが大きな原因で、ここから上には「実需」の売りも示現してくることになりますから、一方通行で上にどこまで上がるかはかなり疑問な状況です。
ショートカバー相場は持って3日
こうした「ショートカバー」主体の相場が継続すると多くの市場参加者が相場の流れが変化したと錯覚しがちですが、株でも為替でも「ショートカバー」が理由で大きく値を上げる相場は持っても当日を含めて持って3日程度で高値から買い上げる向きが限られていることから、今度はロングが溜まりすぎて自律的に下落してしまうことになるのです。
月曜日から「ショートカバー」で上がりはじめたドル円相場は、本日のロンドンタイム以降再度流れが変わることにも十分注意して売買をすすめていきたいところです。
北朝鮮は国連決議を拒否
北朝鮮が国連の決議をこれまで受け入れたことなどあったのかどうかよくわかりませんが、今回の国連の全会一致の決議を早々を拒否することが声明として出されていますので、また近日中に威嚇的な動きがいきなり出る可能性は否定できません。
市場にはかなり北朝鮮のミサイルや核実験に対する飽きがでてきていますから、徐々に大きくは下がらなくなりそうですが、それでも何か起きれば平気で1円程度は下落が見込まれることになりますから、巻き戻しに、さらなる巻き戻しが入るリスクもあらかじめ認識しておく必要があります。
まずは上昇3日目に入る日経平均がここからどうなるかがひとつのベンチマークになると思われ、一息つきはじめるとドル円の上昇もそこまでで、改めてそこから下方向への可能性を探る動きになる可能性に注意が必要です。
引き続き米国10年債金利を注視した売買がお勧め
こう短期間に相場が下落しり再上昇したりしますと、先行きがどうなるのか非常に不安になるものですが、やはり常に気にしておきたいのは「米国の10年債金利の動向」です。
ドル円に関する限り相場は非常にこの金利の上下に連動していますから、様々な要因が相場に影響を与えているといっても先行きをもっとも示しているのはいまのところこの金利の推移が確実といえる状況です。
この秋さらに金利が上昇すると見込んでいた米系の大手証券会社は見通しを引き下げはじめていますし、足元の状態では簡単に米債金利が上昇に転じるとは思えないわけで、9月の「FOMC」で思いがけない内容が登場すれば、流れは変わることになると思われますが、利上げも簡単にはできにくくなっていますで、金利にドル円が連動するとなれば、また円高方向に下落してくることが予想されます。
足元の一過性の流れとの整合性がまったくとれない印象ですが、とにかくここは冷静に様子を見ながらトレードしていきたいところです。
秋に入ってヘッジファンド勢も全力で利益獲得のために様々な仕掛けを持ち出してきています。彼らのしかけに迂闊に乗らないということもFX市場で失敗しない方法になります。