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ここへきてFX市場ではポンドが大きく上昇をはじめています。先週のMPCを受けて大きな利益を享受された方も多かったのではないでしょうか？
この背景には決してよくはない景気ながら、物価が上昇するという典型的な「スタグフレーション」があり、英国中銀も利上げをせざるを得ない状況が差し迫っていることがあることが明確になりつつあります。
これまでEU域内では関税がかからなかった状況が、「BRXIT」で大きく変化しようとしているわけですから、別に国民所得が増えなくても粛々と物価だけ上昇し続けている厳しい英国の国内事情が垣間見えてきます。
ポンドの売買で利益をあげている個人投資家のとってはなんの関係もない話ですが、どうしてこうなっているのかという中身を理解してみますと、いろいろなことにその内容が応用できることになります。
この英国の状況を見ていますと、今後の米国の状況や日本の状況を含めてかなり参考になることがよくわかります。
金利の上昇は株価を確実に下げる
英国の場合はまだ利上げの可能性期待からポンドが上がっているだけですが、英国の株価は一転大きく下落とはじめており、金利の上昇が株式市場に与える影響が顕著なのが改めて理解できます。
逆に言えば自国の株価が上昇しているかぎりはその国の通貨安が示現するこということで、ドル円に置き換えれば日経平均が上昇しているかぎり一定のドル安レベルを維持できることを強く示唆していることがわかります。
為替におけるドル円やクロス円の状況は、株価をみているとかなり見当がつくものといえます。この法則が確実であるとすれば、米国の株高は「FRB」が利上げをすることによりそう長くは続かないことになり、ごく近い将来にその修正がでることは容易に判断できます。
各資本市場の相互関連性が薄れていることは間違いのない状況ですが、金利の上昇は一定のレベルを超えた途端に株式相場の我慢の限界が訪れ、大きく下落することになるという点だけはしっかり覚えておかなくてはなりません。いくら相場間の相関性が崩れてもこれだけは間違いなくやってくる状況です。
株価が大きく崩れれば結局自国通貨も大幅下落
さらに気をつけなくてはならないのは、株価が結局大幅に崩れる場合、とくに暴落を示現して場合は当然こうした自国通貨も下落に巻き込まれるということです。
もちろんポンドはまだそうした状況にはなっていませんが、株式相場の大崩はめぐりめぐってFX相場にも大きな影響を及ぼすことになるのです。
英国のポンドの場合にはこの状況をまるでミニチュア的に示現していることになりますが、先進国はインフレになりにくい状況ながら、「スタグフレーション」というちっともよろしくない「インフレ」が現実にやってくるということにも注意が必要です。
ポンド円の上昇が少なからずドル円上昇に影響
先週ドル円がむやみに上昇した背景には、実はポンド円がえらく上昇したことも大きく影響しています。ただ、この上昇もいつまでも続くわけではありませんから、この先は十分に気をつける必要がありそうです。
英国中銀の「カーニー総裁」はとにかく話がころころ変わる存在として有名ですから、突然利上げやめたといった話が飛び出すとまたポンドが下落するリスクもあり、利益がでたら欲張らずにリカクして状況の変化に備えることも必要です。
また今週の「FOMC」で米国の動きが明確になるとポンドドルの状況にも変化がでることが考えられます。いずれにしても足元のポンドの動きというものは、今後のドルの動きを強く示唆したものとして注目されます。
株と債券、為替の関係は一時的に相関性を崩すことがあっても、一定の動きに収斂しやすくなり「FRB」の利上げ政策が進んだあとのドル円の動きにも非常に参考になるものといえそうです。
（この記事を書いた人：今市太郎）
