安倍首相が10月に総選挙実施の意向という報道が伝えられたのが原因か、週末はなにも北朝鮮からのパフォーマンスがなかったことからなのかわかりませんが、週明けのドル円市場は30銭近いギャップアップからスタートしています。
まだ衆議院の解散が決定したわけではないですし、問題は総選挙になることよりもその結果ということになりますから、この段階でさらにドル円が大きく買い上げられる可能性は低いものと思われますが、今後の動きが気になるところです。
安倍総理が変わらないかぎり大きな動きにはならない?
足元の「アベノミクス」と名づけられた、ほとんど日銀の「金融緩和」だけに依存した経済政策は総理自身の名前がついているだけに欧米では安倍総理ありきの政策というイメージが強いだけに、自民党が大負けしたりすればFX市場でも相場が嫌気してドル円は売り込まれる可能性が高まりそうです。
しかし政権がそのまま続くことになった場合、圧勝でもすればご祝儀的に株価が上昇するのにあわせてドル円の上昇もありえそうですが、そこそこの勝利の場合には開票日の翌日に多少上がったとしても大きな動きにはならなさそうです。
また現状では野党が政権をとりかえすとは到底思えませんので、下落があったとしてもこちらもたいした話にはならないのではないでしょうか。
やりたい放題の総理に対する国民の判断が注目される
政権交代はないとしても、ここまでの森友、加計問題などはまったく決着がついている印象はなく、国民がこうした安倍政権のやり方に厳しい評価をすることになるのかどうかは注目されます。
北朝鮮からのミサイル発射で妙に危機感を煽っているように見えるのが現実ですから、支持率の下落が得票率にそのままま反映することになれば、政権として続投にはなるのでしょうが、その後の運営はかなり難しくなることが予想され、長期的にはドル円に影響を及ぼす可能性も否定はできません。
先進各国中央銀行の動きのほうがよほど大きな影響に
ここからは米国「FOMC」に加え、10月には「ECB理事会」も控えており、各国の「中央銀行」の政策のほうに為替は大きく影響を受かることになりそうで、残念ながら日本の総選挙は10月中に実施されたとしても話題になるのはそうとうぎりぎりになってからという状況になるものと思われます。
日銀は「
金融政策」を変更できるような状態にはありませんから、日本発ででてくる情報というのは非常に限られたものになりそうで、総選挙がFX市場に与える影響も限定的となりそうです。
トランプのドル安政策強化もきになるところ
減税策をしきりに市場に対してリップサービスしているトランプ政権ですが、原資がないのは明確で、法人税の引き上げと本国投資法の常態化によるレパトリの減税はどうやら行われうものの、それ以外は実施できないばかりか減税策自身の法案通過時期も大きく後退する可能性がでてきています。
こうなると議会に依存しなくてもできるのが通商や為替に関する政策ということになりますので、この秋トランプがさらにドル安に言及して具体的なものを日本に求めてくるリスクも高まりそうです。
こちらはかなり現実味のある話で、政治的にドル円がドル安にゆがめられる可能性も十分にあることは意識しておきたいところです。
安倍総理は各国訪問をしては金をばら撒く動きを強めていますが、金融市場的には重要人物として認識されているのかどうかはかなり怪しい状況で、むしろ不明確な政権運営と特定の団体や個人に利益を供与しようとするおかしな動きは海外のメディアでもそれなりに取り上げられるようになっていますから、総選挙によほど大きな変化があれば為替も動くことになるのでしょうが、それ以外はほとんど話題にならず、むしろほかの容認がさらにクローズアップされる秋相場になりそうな雰囲気です。