9月最大のイベントともいえる「FOMC」の結果が発表となりました。
資産縮小はほぼ市場予想通り10月から粛々と開始されることとなり、12月の利上げも依然として残される形となり、市場の予想を大きく超える内容はなかったものの、これまでに比べるとかなり「タカ派」な印象を市場に与えるものになったことは間違いありません。
「イエレン議長」の会見はそれほど強い言葉が使われていたわけではありませんが、明確な利上げ意思が感じられるものとなったのもまた事実です。
「FRB」の「インフレ」見通しは、やはりかなり甘いところがあり、将来的には2%達成を見込んでいますので、このあたりにリアルな市場との食い違いが出始めると金利上昇も思い通りにいかなくなる可能性はまだかなり高く残されていることがわかります。
「イエレン議長」は口には出していませんが、やはり自分に残された在任期間中にできるかぎりの政策の正常化を果たしてしまいたいという意向がかなり強く現れていることを感じさせられます。
他のメンバーも利上げの後退はあえて今回ドットチャートに入れていないようで、現状維持の方針を継続しようとする「FOMC」メンバーの意思を感じさせられます。
NYダウはさらに上昇して引ける
非常に興味深いのが株価の動向で一時的にNYダウは下落に転じましたが、その後再上昇を果たし、まったく利上げ見込みと資産縮小にどこ吹く風の状態となったことです。
相場間の連係性が失われていることは間違いありませんが、これだけ株式相場がなにも反応しないというのはある意味で不気味さを感じるものがあり、こうした状況がいつまで継続できるのかが非常に注目されるところにさしかかってきているといえます。
また米国10年債金利のほうも2.289%までは上昇していますが、そこからどんどん上を目指す雰囲気でもなく、ここからの動きを注視する必要がありそうです。
ドル円は200日移動平均線を上抜け
「FOMC」発表後にドル円は200日移動平均線のある112.270円を明確に上抜けており、113円を目指すことができるのかどうかに注目が集まります。
ここからは今年7月17日につけた112.860円を超えて同月4日の113.420円まで到達できるのかに関心が集まりそうです。ただ、今回の「FOMC」の結果では意外にドル円が上昇しなかったとも言え、かなり市場は織り込んでしまっていたのかもしれないという雰囲気が漂ったことも事実です。
すでに年内利上げを織り込んでしまいますと、ここからどんどん上昇していくかどうかはかなり不透明な状況で上値追いも果たしてどこまでできるのかが気になります。
株式市場はどこかで必ず悲鳴を上げるはず
足元の相場でもっとも気になるのが「米国の株式市場」です。何があっても毎日じり高で最高値を更新し続けるNYダウは、もはやバブル以外の何者でもなく、金利の上昇も資産縮小もまったくお構いなしの状況がここからずっと継続するとは到底思えません。
VIX指数も10を切るというお気楽状態で、どうもこの楽観相場がよくわかりません。なにがきっかけになるかはまったく想定できませんが、どこかでこのお気楽相場に大きな調整が入り始めますと、FXの相場にも大きな変化が現れることが考えられることから、ここからの動きには相当注意が必要になってきそうです。
9月最大のイベントを通過したことで今度は「ECB理事会」に注目が集まることになりそうですが、北朝鮮の問題もなんら解決しているわけではありませんから、新たな動きがでれば相場は一時的に逆戻りするリスクを残しており、これでドル円は安心して上方向に向かうと判断するのはまだ早そうです。
とはいうもののドル円は先日の107円台前半の安値からすでに5円以上上申しており、相場の眺めが大きく変わったことも事実で、これまでのレンジ帯は一段上へとシフトしたことだけは間違いない状況といえそうです。
(この記事を書いた人:今市太郎)