「FOMC」の結果発表直後から東京タイムの市場は株もドル円も大幅上昇ということでしたが、一夜明けたNYタイムはやはり株価に調整が入りはじめており、金利の上昇と資産縮小がなんら市場に影響しないというのが相当な錯覚であることを示唆しはじめています。
NYダウはたった53ドル強の下落ですから、大きな下押しの動きとは決していえませんが、これまで連日のように高値を更新してきた相場がそのまま続かないことだけは徐々に見え始めてきているように思われます。
利上げはまた12月ですから心理的影響はあっても直接的な影響があるわけではありませんが、10月から粛々と進められる資産の縮小が市場に与える影響は決して小さなものとは言えず、ここからの市場の反応が非常に注目されます。
過剰流動性が市場から消滅
これまで米国の大手金融機関の要人や元FRB議長のグリーンスパンなどが警告を発してきています。
過去9年近くにわたって異常とも思えるほど市場に資金を供給し、ほとんど回収することもなく泳がせてきたのが米、欧、日の中央銀行のこれまでの金融緩和政策だったわけですが、一転して資金を引き上げようとしているのですから、金額が少なければ影響がないと考えるのはあまりにも拙速な見方といえます。
とくに資産の縮小は長期金利に大きな影響を与えることになりますが、今後利上げが進めば長短金利が両方上方に動くことが考えられ、イールドカーブのフラット化が現実のものになる可能性は高まることになります。
なにより市場から資金が逃避していくことは十分に考えられ、「イエレン議長」が考えているほど単純で安全なオペレーションではないリスクが内在しています。
とにかく欧米を中心にして市場が不安定化することは間違いない状況で、具体的な市場の変化がどのように現れるかについては相当慎重にチェックする必要がありそうです。
ゴルディロックス相場が続くと思うのは大きな錯覚
ここから12月まで株価もほとんど調整せずドル円も円安で進行すると考えるのはさすがに危ない状況で、それなりの調整がまず米国の株式市場から迫ってくることになるのではないでしょうか。
ひとつは、市場が過剰とも思えるほど期待している米国の税制改革の中身がかなりしょぼいものであることが露見して市場期待が大きく剥落することで株価が下落するリスクが高まりそうです。
日本の株価は総選挙がらみで妙な期待感から下げないようですが、米国のダウは明らかに上がりすぎで暴落はないとしてもそれなりの調整が入ることは避けられないものと思われます。
この株価調整がでればドル円も一定の下落を余儀なくされることになり、秋相場で冬に向けてドル円が上昇するとすれば、再度一定の下落を見てからになるのではないでしょうか。
材料出尽くしでFOMCネタでは113円に載せられないドル円
ドル円は昨日東京タイムだけは「オーバーシュート」気味に112.700円超を試していますが、その後はそこまで追いつかず一定の投げも入ったものの112円台いはなんとかキープしている状況です。
終末の手仕舞いなども考えると、一定の調整下落も想定しておくべき状況と思われます。すでに足元では107.300円から5円以上、上昇していますのでさすがに113円台を大きく買い上げるためにはさらにほかの材料が必要になりますし、日柄的にも調整がでるのはおかしくなさそうです。
今年は「7のつく年」であるにもかかわらず米国の株価にはほとんど調整がなく、果たしてこのまま大きな下落もないままに年末を迎えられるのかどうかが非常に大きな注目ポイントとなっています。
ファンド勢の一部はすでに市場から資金を逃がして調整局面に現金比率を高めているといわれますし、投資の神様の「ウォーレン・バフェット」も株は売ってばかりでまったく買っていないのが実情のようです。
何事もなくいまのバブルが継続するのか変化が現れることになるのか、9月末から10月の相場をじっくりチェックしていきたいところです。
(この記事を書いた人:今市太郎)