FX市場というのは常に変動を続けているわけですから、流れが突然変わるということは実によくある話です。
9月から10月の米国雇用統計ぐらいまで非常に強さを発揮していたドルが、ここへ来て急激に弱含むようになってきており、逆にドイツの連立政権の行方やスペイン・カタルーニャ自治区の独立問題ですったもんだしていたはずのユーロが大きく戻す展開となってきており、あきらかにセンチメントが変化していることがわかります。
すでに10月も中盤にさしかかり年末に向けて、どのような動きになるのかが非常に気になるところですが、再度ドル円とユーロドルの動きをここで改めて確認してみたいと思います。
ドル円はまったく113円台に戻れない動きに
ドル円は北朝鮮からのパフォーマンスの問題があることから、なかなかロングを持ちにくい状況が続いていますが、足元ではもはや113円台が非常に重く、112円台後半も徐々に遠のくような動きになってきています。
ただ、下値も堅くいままでのところ111円台に大きく下落する動きでもないことから、非常に狭いレンジを形成して時間を潰す日柄調整に入っているようにも見受けられます。
直近の状況では上がらないのにドル円ロングを非常に多く投機筋が抱えてきたことから、ファンドの決算に伴う45日ルールの絡みでドル円に一定の換金売りが出ているようにも見えますが、それでもロングはかなり残っており、年末に向けてドル円を買い上げようとする投機筋がそれなりに残っていることが感じられます。
21日移動平均線をなんとか割らないように推移していますが、その下には200日移動平均線も控えており、このあたりを維持できるかどうかでここからの相場の動きがかなり変わってきそうな雰囲気ではあります。
ただし、直近の状況では、特にドル円を大きく売り込むだけの材料があるわけでもなく、北朝鮮問題が一息つけば年末にむけて上昇に転じる可能性も十分に残されている状況といえます。
ユーロドルは再上昇でレンジを抜けるかに注目
一方9月初旬に高値をつけてから一気に崩れだしたユーロドルでしたが、ドイツとスペインの問題がなんとか解決しつつあることから大きく値を戻しはじめており、再度1.21を超えてトレンドを形成するかどうかが大きく注目されます。
月末にはECB理事会も控えており、一定のテーパリングが実施されれば、ユーロは対ドルで大きく上昇することが考えられ、一旦は上方向狙いが難しいとみられていたユーロドルも再度流れが変わる可能性がでてきつつあります。
ドル円にしてもユーロドルにしても決定的なトレンド転換がでているというほどのものではありませんから、ここからの動きをより詳細にチェックしていくことが必要になりそうですが、一旦ドルが弱含みに動いていることだけは間違いないようで、押し目を買うチャンスになるのかどうかは今後のチャート次第の状況になってきています。
一般的に年末に向けてのFX相場は、投機筋が無理やりしかけて相場を形成することが多く、それが終わるとあっという間に元に戻ること往々にしてありますので、動きについていっても12月初旬までになることが多くなりそうですが、株式相場が異常なほど安定している足元の局面では仕掛けも出しやすくなりそうで、ここからの相場展開には十分な注意を払うことが重要になりそうです。
ゴルディロックス相場がどうしてこんなにも長く継続するのかは、相変わらず不思議な部分も残されていますが、そうかといって一気に崩れ去るほどクリティカルな状況でもないのもまた事実であり、とにかくもしものときにはしっかりストップを機能させて相場についていく意外には年末にまとまった利益を獲得する方法がなさそうな状況になりつつあるようです。
(この記事を書いた人:今市太郎)