日経平均はドル円の低迷とはお構いなく、なんと1996年以来の高値に差し掛かっており、いかにこの20年以上株価が低迷してきたのかを改めて思い知らせれる状況となっていますが、総選挙が支えになって遅咲きの日本の株価もようやく多少は花開いた状況になってきています。
今週は総選挙の途上ということもあり、株式業界の関係者の強気発言では、まだまださらに上昇するという、いつもながらの強い数字がでるとさらに強気の見方がでる状況になりつつありますが、それとは何の連動性もなくドル円が下落をはじめており、日経平均とドル円の相関性が完全に崩れ始めている動きが鮮明になってきているところが気にかかります。
ドル建て日経平均ではすでにピーク状態
Data 四季報オンライン
当然のことながら、過去5年における日経平均を見てみますとピークにさしかかっているのはご案内の通りですが、ドル建ての日経平均も「アベノミクス」スタート以来完全にピークの状況に到達しようとしているところが印象的です。
ここからドル円が崩れだしますと、円建てで多少株価上昇が見込まれてもそもそもドル円と一緒に日経平均を買っていない米系などのファンド勢にとってはおいしい話ではなくなりますし、なにより21500円を超えると俄然割高な株価水準になることから、足元では大幅下落はないでしょうが、総選挙の結果など待たずにそれなりの売りが週明けから出てくることが十分に予想される状況です。
株が崩れるときにはなぜか一緒に下げにつきあうドル円
為替の面白いのは株価の上昇には連動しなくても、下落にだけは連動することが多いもので、これは米株が崩れても日経平均が崩れても過去ドル円は一緒に下落に付き合う動きとなってきています。
まだ米国の減税や「FRB」議長の人選などがはっきりしていませんから、ドル円をもっとも動かず材料が乏しい状況ではありますが、日経平均が一服して調整をはじめればドル円は下落することが予想されるため、北朝鮮のパフォーマンスなどのリスクを含めると111円台を守れるか、さらに調整して110.500円などのこれまでの下支えポイントまで下落することになるのかどうかがひとつのチェックポイントとなりそうです。
日本株の価値が再評価されたとか年末はさらに爆騰相場がくるとか、いろいろな調子のいい楽観見通しが国内の株式関係者から飛び出しまくっていますが、必ずチャートで確認して単に口車にのらない堅い取引が求められる時間帯にさしかかってきています。
個人投資家が総強気に転じるあたりがバブルの終焉
商品取引と株式取引というのはバブル最後期がもっとも相場が走りやすく、どこまで上昇するかよくわからない状態が続くのが毎回確認されています。
エリオット波動でいえば第5波にあたる期間となるわけですが、この第5波はあっという間に終わることもありますし、結構長期間走ることもあって、迂闊に売りに回るのは得策ではありません。とくにじり高が続くときというのはその賞味期間が非常に長くなることがこれまでも何度も確認されています。
ただ、疑心暗鬼で高値からの参入に尻込みしてきた個人投資家が、意を決して買いで市場に参入した時点でだいたいバブルというのは終焉することが多いので、みなが総楽観を口にしたときは少なくとも買いでついていくのだけはやめて静観したほうが結果的に命拾いすることになるのもまた事実です。
人によっては足元の相場のどこがバブルなのかと疑問に思われている方も多いと思いますが、米国の株式相場は完全に末期バブルに突入しており、それがさらに続きそうなこれまでにないステージに入り込もうとしています。
特に今回のバブル相場はこれまでのIT市場だけとか不動産市場ベースといったものと違い、全資本市場の全資産がバブル化しているのが特徴で、これが巻き戻るときというのはかなりの痛みを伴うことが予想されます。
デイトレやスキャルピングなどでは上昇も下落も自由に売買して構いませんが、上がった相場は必ずどこかで下落することだけは常に意識しておくことが大事で、妙に調子のいい相場がではじめたときはより一層用心して想定と反対の相場展開のシナリオも頭に描いておくことが必要になりそうです。
(この記事を書いた人:今市太郎)