もう先週からかなりすれすれのところまで来ていたので、時間の問題であることはわかっていましたが、NYダウがとうとう23000ドルという史上最高値を更新しました。
1985年以降実に1700%以上の伸張率ですから、20年ぶりに21000円を超えたの11連投だのと喜ぶ日経平均のお粗末な状況とは比べ物にならないほど米国の株式相場への投資妙味は高いことが改めて認識されますが、多くの有識者たちが首をかしげるように果たしてこのバブル相場はいつまで温存されるのかが非常に気になるところです。
為替、とりわけドル円は株が上がってもついていくわけでもなく、相変わらず日経平均とも連動しないままで株高円高という新たな局面を迎えている状況です。
バブル相場がいつまで継続するかは誰にもわからない
このコラムでは嫌になるほど今年の米国の株式相場は危ない危ないと申し上げてきました。私自身いつ大幅変動があってもいいようにストップロスは常に入れてできるだけ、デイトレで自分の見れる時間だけロングをとるようにしてリスク回避をしてきたつもりです。
巨大地震が訪れるときにいくつかの兆候が見られ、鳥や犬など自然界の動物たちが騒ぎ出したのがあとになって地震を予知していたのかと驚かされることがありますが、どうも人間には自然の災害を予知する能力もなければ人間だけでやっている相場の暴落も見通す力はないようで、危ない危ないと思ってもいつまで経っても大きな変化が現れないのが足元の相場状況ということになります。
ただ、ひとつだけわかっているのは「未来永劫に相場は上昇しない」ことで、必ずどこかでその転換期に遭遇することになるということです。それが明日なのか来年なのかがわかれば苦労はありませんが、そのときがいきなりやってきても慌てない心構えだけは必要です。
短期の投機筋も相場をかなり読み違えている模様
足元のドル円もユーロドルもほとんど小動きで、ここから相場の方向がどうなるのかは正直なところよくわからないままの状態です。
しかし12月に向けて一定のシナリオを作ってポジションを積み上げているようにみえる短期の投機筋はドル円のロングもユーロドルのロングも積み上げすぎで、相場がこれ以上下落すれば自律的に反対売買を余儀なくされることになりかねない状況に直面しはじめています。
ドル円はほとんどが112円台以上でロングがつみあがっていますから、おそらく年末に向けては金利が上昇して118円には届かなくても116円方向程度まではさらに上伸すると読んでいた投機筋が多かったものと思われます。
またユーロドルも選挙関連のリスクが遠のいて再上昇を見込んでいるのにまたしても、1.17レベルに蹴落とされている状況で、なかなか思った方向に動いていない様子が窺われます。
ドル円は相当ロングの枚数が溜まっていますから、ここから徐々に相場が下落しはじめますと順次投げが入って思わぬレベルまで下落する可能性も否定できず、非常にやりにくい状況になってしまっています。
日経平均も21500円に近いところまでは上昇しましたが、バフェット指数でいえば120を超え始めていますし、足元の円高状況ではここから大きく押し上げられる可能性は極めて少ない状況で、もはやドル円は米国の金利次第という相場展開になろうとしていることがわかります。
10月末には「FRB」次期議長人事も発表になるようですし、次の材料がはっきりしてくるまでは当分今の日柄調整のような相場が続くことも覚悟しておく必要がありそうです。
個人的には米国の異常とも思える今の相場状況がそのまま年明けまで継続するとは到底思えず、意外なことから大きく崩れ始めるのではないかと考えはじめています。
それがいつ、何によるものなのかが明確に申し上げられればいいのですが、そのリスクは確実に高まっているといえます。今ごろから急に楽観論に宗旨替えするのだけは絶対避けたいところです。
(この記事を書いた人:今市太郎)