足元のFX相場は決定的な方向感を示す事象や材料が明確にはなっていないことから、上下にぶれやすく、とくに欧州の政治をめぐるネタで相場が上下する状況はユーロ、ポンドがらみでクロス円も上下にぶれやすく、思わぬ下落や上昇に巻き込まれるケースが続出している点にかなり注意が必要になってきています。
ユーロやポンドは欧州時間になると東京タイムとはまったく異なる動きをすることも多いことから、10月は「ECB理事会」などを超えるまでは用心しながら売買することが必要になりそうです。
スペインの問題は二転三転
日本にいるわれわれにとっては非常によくわかりにくいのは、スペインのカタルーニャ州の独立問題で、単純に報道のヘッドラインだけで理解して、一件落着と思っていると事態の変化に相場が右往左往する状況に巻き込まれることになり、迂闊なポジション作りは相当危険であることがわかります。
少なくとも欧州系のメディアはそれなりにチェックしていないとユーロの動きを予想することができず、想像以上にリスクを感じさせられる次第です。
スペインの一州のことでここまでユーロが乱高下するのかというのは正直なところちょっと驚きですが、それぐらい国を形成している枠組みが崩れるのが民族問題であり、パンヨーロッパでこの問題が深刻な影響を及ぼすことを示唆しているともいえ、無視できないものになってきているのです。
英国も結局すべてはBREXIT
ポンドの上下動が激しい英国も利上げと「BREXIT」の進捗状況が綱引きを繰り広げる状態になっていますが、冷静に見ますとそもそものインフレが「BREXIT」が決まってからEU域内の貿易取引とは異なる動きがでようとしているところに起因しており、すべてはBREXITに繋がる内容からでている動きであることがわかります。
したがってこの2つのテーマをポンドの上昇下落の二律背反の材料とすること事態が問題で、一時的な利上げよりもBREXIT問題のほうがはるかに英国にとっては大きな事象であることがあらためて明確になってきます。
英国がBREXITを決定したあと、メイ首相が登場した段階ではハードBREXITかソフトBREXITかがしきりに議論されていました。
しかし、実際にはEUにはソフトBREXITなどというものは一切用意されておらず、今のままではなんの詳細の交渉もしないで飛び出してしまうという最悪の選択肢すらちらつきはじめている状況です。
金利の問題だけでポンドの上昇、とりわけポンド円のロングを決め込んでいると架空通貨ペアであるだけに思わぬ落とし穴に陥るリスクだけは意識しておく必要がありそうです。
ドル円も存分に巻き込まれる状況
ユーロ、ポンドの上下動は少なからずドル円にも影響を与えている状況で、113円台初頭まで上昇したドル円はロンドンタイム以降あっという間に112.600円も割り込むほど下落し、NYタイムでは112円台初頭まで下押ししてみせることとなっています。
ドル円が上値試しをするのではと期待していた向きは完全に一旦切らされる展開となり、ロンドンタイムの流れの変化が改めて馬鹿にできないものであることを印象付けられています。
ここ一両日は、明確な方向感がつかめるまでは積極的な売買を控えてみるというのもひとつのやり方ではないかと思います。動きの方向がつかめないままにポジションをとりますとどうしても間違った方向に動いて損切りを余儀なくされますので、無駄な取引になりがちです。
おそらく多くの市場参加者がその相場の方向性について思い悩んでいるところでしょうから、あえて静観してみるというのも重要な戦略です。
そのぐらい足元の相場状況は難しいところにさしかかってきていることがわかります。月末「ECB理事会」でなんらかの動きがではじめるともう少しやりやすい相場が見えてくることになりそうです。
(この記事を書いた人:角野 實)