事前の予想通り総選挙は与党の圧勝ということで、週明けの東京タイムは株も為替も大きく上昇しています。
ただ、株価はどうも14連騰自身がむりやり作り出された感が非常に強く、日経225の特定値嵩株だけを狙って買いあがることで指数平均をつりあげるといった、従来からの外国人投機筋のやり口がそのまま表にあらわれている状況です。
それに本邦の政権をサポートする筋が一緒になって毎日相場の終了直後に買い足して数字を維持していた気配が濃厚なだけに、このまま上昇が継続するとは思えず、一旦は利益確定売りにおされる可能性もあることから、ドル円がそれにどこまで影響を受けるのかが今週大きなポイントになりそうです。
114.500円を超えるかどうかが当面のターゲット
すでに東京タイムで114円台まで吹き上げたドル円は当面7月の高値であった「114.490円」を超えることができるかどうかに注目が集まります。
先週までの動きでいいますと「113.500円」で何度も止められた経緯がありますので、このラインがサポートとして機能するかどうかも大きな注目点になりそうです。どうやら下値は結構堅くなりそうではありますが、果たしてここからさらに上昇できるかどうかの材料が揃うかも大きなポイントです。
FRB議長人事とECB理事会が大きな注目点
米国の減税の行方は12月が近づかない限りよくわかりませんので、当面の材料は「FRB議長人事」と「ECB理事会」ということになりそうです。
このコラムでは何度もFRB議長人事についてはとりあげていますが、パウエルになればドル円は大きな上昇にはならないと思われますが、逆になぜかタカ派の議長が選出されることになれば、一気に114円台中盤を越えて相場が上昇する可能性がでてくることに注意が必要です。
またECB理事会については「テーパリング」の実施の仕方が大きく注目されることになりそうで、規模と期間の設定次第では市場の予想通り大きくユーロが買い上げられることになるものの、たいした規模ではないと期待が剥落するとユーロが売られることになり、ドル円にも応分の影響がでることは必至です。
ユーロ円が下がるとドル円もそれにつられることもありますから、「ECB」以降のドル円の動きがどうなるのかはよく確認してからついていくことが必要です。
北のミサイルはもうお仕舞?
猛烈な台風がやってきているときにはさすがにミサイルは撃たないのでしょうが、安倍政権の存続祝いにミサイルが発射される可能性がなくなったわけではなく、北朝鮮リスクはすっかり市場の関心から消えてしまいましたが、このまま何事もなく年末まで平穏無事に過ごせるかどうかはまったくわからない状況です。
自然災害ではありませんが、忘れたころに何かされた場合には結構大きな反応になることも考えられますから常にリスクのことだけは頭に入れておくことが大切です。
米系の投機筋はこのままドル円を大きく買い上げて、12月の「FOMC」の前あたりにすべて売り払って楽しいクリスマスを迎えることを想定していることは間違いありませんし、あまりそのシナリオが思い通りに実現できないとなればサンクスギビングの前後に売り払ってくることも考えられますので、ドル円がここから上昇するとしてもそれほど長い期間の動きにはならないことも十分に考えられます。
異常とも思えるゴルディロックス相場が果たして年明けまで続くのか、何かの拍子に大きく調整するのかもかなりドルに影響を与えることになりますから、安心は禁物です。
すでにこのコラムでもご紹介していますが、投機筋が勝手に想定している相場シナリオというのは往々にしてそのままではうまくいかないことが多く、特にFXの世界ではとんだ目算違いに終わることも多いですから、単純についていくという発想はそれなりのリスクを伴うことも認識しておくべきでしょう。
(この記事を書いた人:今市太郎)