米国下院は共和党が税制改革法案を可決したことで、なんとか113円を戻し東京タイムを迎えています。NYタイムの序盤は戻り売りで、またしても112円台に沈んだドル円は大きく下値を模索することもないままに元気のない時間帯を過ごしましたが、なんとか後半で113円台を復活させる動きになっています。
ただ、この税制改革法案は上院でどのように修正可決されるかまだはっきりはしておらず、内容の後退次第では激しく相場が売られることになりかねないだけに相当な注意が必要です。
当初はサンクスギビングの前までに決着という話になっていましたが、どうも足元の状況を見ますとそんなに簡単には決着しなさそうでここからは共和党のもめ方次第という状況です。
昨日の相場の動きを見ても一応ポジティブに反応はしていますが、超楽観的に相場がこれを受けて走るというところまでは行っておらず、やはりこの先どうなるかわからないことを市場が心配していることが見えてきます。
FX市場は完全に調整段階入り
株式相場が日米ともに調整入りしたことを受けてFX相場もかなり調整気味の動きがでており、方向感ははっきりしません。
東京タイムでは株価が上昇すればそれなりについていくし、下落すればドル円もその下落のお供をする状況で、ロンドンタイムにさらに上伸しても上値では戻り売りが出る始末で、決して一方向に動くような感じには見えなくなっています。
ここからは市場参加者も減少してくることからますます動きが乏しくなることが予想されますので、方向がよくわからないと思ったときには少し休憩をとって無理をしない売買が必要になりそうです。
ファンドの手仕舞いも早そうな状況
昨年の今ごろはトランプラリーがはじまったばかりで、感謝祭以降お休みといった雰囲気はまったく見られませんでしたが、今年はファンドもそれなりに儲けをだしているようで、ここ数年続いた年末ラリーを意識することなく通常どおりに手仕舞いの動きを見せ始めています。
今年に関しては11月末からはさらに静かな相場になることも予想される状況で、残り一週間の休み前はポジションの解消の動きも加速しそうです。
市場のテーマも不明確
よくよくみれば市場の材料となるものはたくさん残されているのですが、足元の相場は経済指標にも大きく反応しなくなっており、当分この状況は続きそうな気配です。
昨年から大きく株式市場が上昇したことでファンド勢も一様に潤っている感があり、あまりここへきてガツガツとした動きをしないためになにか方向感のない相場の雰囲気が高まっているのかもしれません。
今年はクリスマス明けまででてこないファンドマネージャーも多くなりそうですから、動きは全体として乏しいものになりそうですが、それでも儲かっていないマネージャーはこの時期にしかけ売買に挑んできますので思わぬ動きがでるリスクには常に注意が必要になります。
ここからは12月のFOMCまでは大きなイベントが見当たらなくなりますが、12月の利上げも確定的であり、その後は人事の入れ替えが待っていますから、要人発言もイエレンからパウエルへと移行することになり、年末に向けて大きな動きがでるかどうかは不透明です。
ただし、イールドカーブのフラット化だけは間違いなく進んでおり、過去の市場であればこの段階で相当な株価調整もでていたレベルに入ってきていますから予想外の相場下落というものには常に注意が必要です。
さすがに今年は何も起こらないのかもしれませんが、リスク先送りとなれば年明けからが一段と危なくなるわけで、気を抜けない相場が続きそうです。当分は次の相場展開にむけて英気を養う時間帯に入ってきているのかもしれません。
(この記事を書いた人:今市太郎)