CFTCが27日発表した11月21日時点の建玉報告によると、CMEの通貨先物市場で非商業部門(投機筋)のドル円のロングは、12万2602枚と前回の13万5999枚から1万3397枚減少しています。また、ユーロドルのロングは9万5437枚と前回の8万4586枚から1万851枚増加するという形になっています。
この感謝祭を挟んだドル円の下落は、確実に投機筋のドル円ロングの”ほどき売り”が出ているとともにユーロドルを反転に買いに転換していることがわかります。
感謝祭の2日前の数字ですから22日にはもっと減少した可能性もあり、これがドル円を頭を抑えたことはほぼ間違いない状況です。
120日線を見ているヘッジファンド勢
ヘッジファンド勢は120日移動平均線を見ながらドル円の売買をしていることが多いといいますが、今回このレベルを明確に割り込んだことで、ロングのほどき売りが次々と出たようで、感謝祭を超えてこの動きがどうなるか次第では一旦111円割れから大きく下押しできず、111円台にもどしているドル円もさらに下落する可能性がでてきているといえます。
昨日のNYタイムでは11時過ぎに一旦111円割れを示現しましたが、下がりきらず111円台に戻したあと「London Fix」で再度下値を試す動きがでました。
1時半すぎには110.834円まで突っ込んでいますが、どうも110.800円以下にはそれなりの買いが並んでいることはどうやら間違いない状況で、それ以上は下押しができずに「ショートカバー」がでています。
ただ、上値も112円台まで戻すことは相当難しそうで、上述の120日移動平均や200日移動平均といったものがレジスタンスラインと機能し始めていることから戻り売りもかなり出やすくなりそうです。
今年7月のドル円ロングたまり過ぎでは108円台まで下落
投機筋のドル円ロングが溜まり過ぎた今年7月の段階でも114.490円をつけたドル円は、投機筋のドルロングが溜まり過ぎて”ほどき売り”から一旦110円台をつけ、さらに下落して8月には108円台まで突っ込んでいます。
つまり投機筋のほどき売り次第では、やはりさらなる下落が予想される状況にあるというわけです。
ただ、ドル円は本質的には足元の材料で円高を強く志向するものではありませんから、ポジションの解消が進めばまた上昇の機運になることは十分に考えらえます。
特に今年の9月に米国の10年債利回りは底を打ったようにみえますので、金利の面から言えばドル円がこれ以上下がる可能性は低いといえます。
米国債券相場はいよいよバブル崩壊という見方も
おそらく現状の異常な楽観ムードにささえられた「ゴルディロックス相場」の均衡をぶち破るのは米国の債券市場の下落のはじまりと思われます。
債券市場は株式相場に比べて目立ちませんが、やはりかなりのバブル状態でこれが崩壊しはじめて金利がいきなり上昇しはじめれば、明確なイールドカーブのフラット化が示現し、一時的に上昇に転換するドル円はその後の株式市場の大幅下落に直面して反転下落に転じるリスクが高まります。
現状ではこうした危機的状況は、年内よりも年明けに起きる可能性を指摘する専門家が多くなっていますが、12月の「FOMC」の利上げ後に様相が急変する可能性もまったくないとは言えませんので、あくまで相場の推移を常に警戒する姿勢が必要になりそうです。
米国の金融市場では「相場が永久に上昇する」などという、たわけた発言をするストラテジストも登場し、多くの専門家が現状の相場の説明にさじを投げ始めていますが、沈まない太陽はないのと同じで、相場は永久に上昇したりはしないものです。
周辺で強気に転じる人間が増えるほどリスクが高まっていることは、しっかり認識しておかなくてはなりません。ただ、FX市場に限ってはゼロサムゲームであるため、相場の大きな流れとは別の状況を示現することはいつでもあるものです。
理不尽に思えるかもしれませんが、他のプレーヤーとの相対的関係から常に価格が形成されていることもしっかり理解してポジションをつくっていきたいものです。
(この記事を書いた人:今市太郎)