先進主要国の中央銀行総裁、議長レベルの人間の交代時期が迫りつつあります。
「ECBドラギ総裁」は2019年末が任期となりますから、まだ結構な時間が残されていることになりますが、黒田総裁の任期切れで市場の予想とは異なる番狂わせが登場することになりますと、国内の株式市場や債券市場、為替にも大きな影響がでるだけに今後の動きが注目されるところです。
市場は黒田総裁の続投を予測
市場では、安倍内閣が継続していることもあって、その信任の厚い黒田総裁がそのまま続投するのではないかという予測が非常に強まっています。
先進各国が金融引き締めに向かうのなかで、日銀が出口をどうするのかについても関心は固まりつつありますが、現状では名目物価が2%を達成してもしなくても足元の超低金利政策をやめたとたんに債券金利は周辺国の金利状況に呼応して上昇することになりかねませんから、だれが後継者になってもこのあたりの政策が継続するかどうかが大きな問題になりそうです。
実際に安倍内閣になってからいいように国債を乱発して金利を抑えてることで、ほとんど財政ファイナンスに近い状況を続けているわけです。
これで金利が3%、4%台にまで押し上げられることになれば、当然発行国債の金利負担だけでも税収のほとんどを喰ってしまうという大変危険が状況になることが予想されるだけに、とにかく何があっても低金利政策をやめるわけにはいかないのが現実の状況です。
債券市場は出口に向けてプレッシャーをかける状況に
ただ、先進各国が利上げに動くときに日本だけが「マイナス金利」などを維持しているのに市場が疑問を投げかけるのは当たり前の話で、とくに本格的な「インフレ」が到来すれば日銀がいくら制御しようとしても債券金利は長期から確実に上昇することは避けられない状況で、足元の生ぬるい相場がいつまで続くのかも今後注目されることになりそうです。
少なくとも現状では株のETF買いをやめるはなしと国債の購入を中止するということをほのめかした途端に相場は変調をきたし、崩れ始めるリスクが非常に高まることになりますから、黒田総裁が続投するにしてもこのあたりにどのような認識を示すかも市場は非常に注目していくことになりそうです。
日銀は黒田総裁になってから、およそ資本主義国の中央銀行としては普通はやらないであろうことをすべからくやってしまった感があるだけに、ほとんど出口は用意されていないようにも見えますが、市場はそのあたりもかなり気にし始めている状況です。
続投が決まっても、まさかの交代となってもそのあたりへの注目度は新年早々かなり強まりそうです。
きわめて邪魔な存在なのが本田スイス大使
黒田総裁の後任として自ら意欲を示しているといわれる本田元内閣参与、現スイス大使の存在は要注意となります。
この御仁、だれからも頼まれていないのに自分だけ黒田総裁の後任を意識しているようで、メディアに対しても「ヘリコプターマネー」のことを語ってみたり、「日銀の金融政策」に口出ししたりする存在で、メディアでこうした記事が取り上げられるたびに相場に影響がでていることもまた事実となっています。
なぜこうした余分な発言を繰り返すのか、また政府関係者がそれをどうして止めようとしないのかはよく理解できませんが、黒田総裁の任期切れが近づくにつれてまた本田氏の余分なノイズレベルが高まり、海外勢を中心として相場が妙な形で動いていくことにも注意が必要になりそうです。
(この記事を書いた人:今市太郎)