米国FOMCに次いで実施された14日の「ECB理事会」では「政策金利」は据え置きとなりましたが、インフレ見通しが引き上げられたことからユーロは対ドルで1.1862付近まで、対円で133円74銭付近まで上昇したほか、対ポンドでも0.8833付近まで値を上昇させることとなりました。
しかし、さすがに年末で市場参加者も少ないことから買いは続かず失速してしまい、逆に安値を更新する動きとなっています。
そんな中で米国で税制改革法案の年内成立が難しいのではないか、といった見方が市場に広がったことから株が下落、ドル円もそれに連動するかのように朝4時半には112.058円まで売り込まれる展開となっており、FOMC前から見ますとあっという間に1.5円近い下落を示現させています。
クリスマス前の成立までジャスト一週間ということになりますが、これが実現しないとなると年末に向けて一気に上昇相場の巻き戻しが起きる可能性もでてきており、薄い相場ではありますが、その動きが注目される状況です。
ドル円は111円台中盤で下落が止まるか注目
ここからの相場は想像以上に参加者が少ないため、ちょっと大きく売られることになると下落幅もいきなり拡大することになりますが、本邦勢は年末ぎりぎりまで市場にでてきますので、111円台中盤から前半にはそれなりの買いが並びそうで、果たしてこの減税法案の問題でどこまでドル円が下落するかが注目されます。
米株の下落が加速した場合には債券へ資金が逃げ込むことも考えられることから、ドル円は当然下押しを余儀なくされることになり、今年の年末はどのレベルまで押し込まれてお仕舞いになるかが問題になってきそうです。
ただし、市場では積極的に売るというよりは買い持ちしてきたドル円ロングをどのレベルで手仕舞うかの動きになりますので、もっぱら投機筋が抱えているドル円ロングがどこまでほどき売りになるか次第で下落レベルがはっきりしてきそうです。
本来ドル円がここまで売り込まれる材料ではない
税制改革法案は確かに詳細の詰めの問題が残っていることは間違いありませんが、実施の方向にむけたとりまとめが進んでいることも確かですから、仮に可決が遅れたとしても早晩スタートする可能性は極めて高く、一時的な売りを誘うことがあっても将来的にはドル円は上昇方向に動く材料となっていることは間違いありません。
何より完全失業率が実現しているなかでさらに緩和的な材料を持ち出してくるわけですから、株のバブルはより一層進行しやすくなり、「FRB」の利上げスピードもパウエルが議長になったからといってのんびりしていられない可能性が高まります。
年末の下値は絶好の買い場になることも意識しておきたいところです。
アルゴリズム主体の閑散相場はヘッドライン次第の動き
ここからの相場の動きはもっぱら「アルゴリズム」の過剰反応にゆだねられることとなりますのでヘッドラインの見出し次第で相場が上下にぶれるリスクがかなり高くなりそうです。
今年のクリスマスはほとんど土日にかかっていますので、22日まで本日を含めて6営業日ということになりますから、22日を待たずに法案通過が難しい状況となりますと、その前に相場が大きく崩れだす危険性も考えておく必要があります。
だいたい海外勢は25日が月曜日ですから土日の手前から休みだすことが考えられ、木曜日あたりには動きが出て終わってしまうことも想定しておくべきでしょう。ドル円に関しては東京タイムで主体的に動くことも考えておかなくてはならない状況です。
昨年末にくらべますとずいぶんと雰囲気の違う相場ではありますが、結構盛り上がった昨年でさえ、クリスマス前の一週間はほとんど動いていませんから、ここからはあらかじめ相場を見越してポジションをとるよりは動きがでてから次の手を考えて仕込む時期になるものと思われます。
(この記事を書いた人:今市太郎)