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2017年の相場を振り返ったとき、やはり避けては通れないのがトランプ相場の存在です。
思い起こせば昨年の11月トランプが大統領に当選した時点から、本来相場大暴落などといわれていたにも関わらず、逆に期待からどんどん上がりだして、株式市場はその後も大幅上昇でとんでもない爆謄相場を示現するようになったことは今年非常に印象的なものとなりました。
トランプの当選段階からみるとちょうとNYダウは1万8000ドルレベルでしたから、足元の相場は実に6900ドルも上昇したことになり、就任後から見てもほぼ5000ドル上昇したことになります。
トランプはもちろん自分のおかげであると豪語していますが、昨年から年初までの2000ドルは単なる期待相場で、その後大統領就任後はほとんど公約を実施することもなく相場は上昇してしまったことになります。
これがすべてトランプの功績によるトランプ相場と呼べるのかどうかはかなり怪しい部分がありますが、過剰とも思える中央銀行の緩和措置が引き締めに動いても、とにかく過剰流動性で行き場を失った資金は株を延々と押し上げ、4月から一貫して上昇トレンドがでたままの状態で株価が上昇したことは非常に注目すべき状況といえます。
もちろん背後に米国の金融機関のミレニアル世代がいてとにかく押し目が出れば買い向かったことから、特別なIT株を中心にして大きく指数が引き上げになったことは否めませんが、オバマ政権下ではみられなかった爆謄が示現してしまったことは間違いありません。
減税とインフラ投資でこのままじり高上昇が続くのか？
債券のイールドカーブはますますフラット化が進んでいますが、米国の株式市場にはほとんど大きなボラティリティがなく、来年に向けてもこのままじり高が延々と続きそうな気配が濃厚になってきています。
このトランプ起因の相場ではとにかく押し目らしい押し目が一度も出てこなかったことに加え、７のつく年のアノマリーも完全に粉砕される始末で、多くの市場関係者の読みが当たらなかったという点でも注目される相場となりました。
ドル円は結果的にトランプの恫喝効果が効いている？
さて、為替でいいますと、ドル円は年初に高値をつけてからそれを超えるような動きは全くなく、結果的に1月以降は結構幅の広いレンジ相場が続きました。
国内ではPKO軍団が画策して107円台の下値はしっかりと買い支えることで大きな下落を引き起こすことはありませんでしたが、上値も115円台に乗ることがないままにレンジの範囲内で動く相場が続いています。
結果論としてはドル高を容認しないというトランプの姿勢がジワリと相場に反映していることはどうも間違いなさそうで来年も同様に上値は大きく上昇するとはなかなか思えない相場が続きそうです。
米国債券金利次第では120円近いところまでの上昇の可能性は残されますが、下値もよほどのことがないかぎり100円どまりではないかと思われます。
しかし、実際に減税策がつまびらかになってみますとあまり庶民にとっては関係なく大金持ちが結果的に優遇されるだけで意味がないとの失望の声も出始めている状況で、インフラ投資を含めて大きな借金を重ねることになるトランプ政権に対する支持と評価が来年11月の中間選挙まで持つことになるのかどうかがここからの相場の焦点になりそうです。
とはいえ、ここまでトランプがらみで相場が上昇するとはだれも予想していませんでしたし、発言の内容は相変わらずかなり危険、しかもロシアゲートも徐々に追い込まれつつあるようで、依然としてこの政権がいつまで続くのかは不明で、8年やるきなのはトランプだけではないかと思われる状況は延々と続いています。
先行きの読み違いというのは相場の世界ではよくあるものですが、トランプに対しては多くの市場参加者が大きく読み違えた1年となってしまいました。
（この記事を書いた人：今市太郎）
