今週のFX市場はかなり大きな動きとなりました。
年明け早々は投機筋の買い上げなどの動きが顕在化し、株がバブル状態だったのに比べて為替は今一つ何を材料にして動こうとしているのかよくわからない部分もありました。
しかし、やはり日欧の中央銀行の政策変更がいつどのような形で示現してくるのかに大きな注目が集まっており、ECBに対する注目が並行して日銀にも注がれていることがよくわかる相場の動きとなりました。
市場はECB議事録を受けてユーロドル買い上げ
11日に公表された2017年12月のECB理事会の議事録で、金融政策の先行き方針(フォワード・ガイダンス)の見直しが議論になったことを明らかにされたことでユーロドルは大きく動くことになりました。
景気と物価が順調に回復を続ければ18年の早い時期に修正する可能性があるという内容が公表されたことで12日のNYタイムからはユーロドルが一気に噴き上げる形となり、昨年の高値をいきなり抜く大きな上昇を示現しています。
こうなるとどうしても関心が集まるのは日銀の政策変更で、今秋国債購入オペの減額があったことから日銀も少なからず政策を変更してくるのではないかとの思惑は依然強いようでドル円はNYタイムに何とも111円を割り込む展開となっています。
来週月曜日が米国の休日ということもあってポジション調整がでた可能性も否定はできませんが、やはりECBもテーパリングに入り始める中で日銀がどうするのかには相当市場に興味が集まっていることを彷彿とさせるドル円の動きとなったことは間違いありません。
ただ、日本は1100兆円にも及ぶ国債の借金を抱えているわけですから政策金利が3%にでもなれば消費税をいくら上げても金利に返済が間に合わなくなることは間違いなく、黒田総裁が続投しても辞任しても本格的なインフレが来ない限りはいまの政策を継続せざるを得ない状況であり、市場の期待と日銀が直面する状況は大きく異なっているといえます。
ユーロ高、円高がどこまで進むかが問題
ユーロについては対ドルでさらに上伸しそうな雰囲気になってきていますが、一方で円高も進んでおり、ドル円がどこまで下落するのかも注目されることになりそうです。
すでに111円台を割れてきていますから、来週110円台をドル円が試すことはほぼ間違いない状況で、残念ながら米債の利回りとの連動感も完全に切れた印象が強まっています。
ただ、今の材料だけで110円をさらに割り込む動きになるのかどうかは依然不透明で、下値にはそれなりの需要があることも想定されます。
日欧の中銀金融引き締めは米国株式市場にも確実に影響
昨年FRBは利上げを継続し、資産の縮小もスタートさせていますが、株式市場も債券市場もほとんど無反応で相場は続伸することとなりました。
この背景にはやはり日欧の中央銀行が緩和措置を継続していたことが色濃く影響しているものと思われますが、今年少なくともECBが緩和から出口戦略に舵を切り始めると日銀だけでこれまでの主要中銀の緩和分を引き受かるわけにはいかず、自ずと市場の過剰流動性は縮減する方向に向かう可能性が高まります。
こうなると米国に流入してきた資金が途絶えることになりますから、株式市場にも債券市場にもそれなりの影響がではじめ、足元のゴルディロックス相場にも変化がでるかどうかを十分にチェックしていく必要が生じそうです。
米国債の利回り上昇は確実に米国の株式相場にネガティブな影響を与えることになりますので、足元での金利上昇をさらに上回る動きがでるリスクも高まることになり、それがNYダウを大きく引き下げるトリガーになる危険性も高まることになります。
当面はECBの動向とそれを受けてのユーロの推移が大きく注目されることになりそうです。
(この記事を書いた人:今市太郎)