米政府機関閉鎖でも再開でも上昇するNYダウ

米国では債務上限問題を回避するための暫定予算案の議会通過が先週末段階でスタックしてしまったことから、為替は多少ドル安傾向に動きましたが、NYダウは一貫して上昇を続けており、閉鎖が決まっても上昇、再開でさらに上昇というかなり強気一点張りの相場展開が続いています。

この相場は乗り遅れまいとして新たに買い進む市場参加者がもたらすメルトアップ相場なのではないかとの指摘も出てきており、そう簡単には収まらなさそうな雰囲気も強まっています。

ただ、最終局面に差し掛かってきていることは間違いないようで、中央銀行バブルの最後のステージでどこまでこの相場が継続するのかが大きな焦点になってきています。

相場の底というのは比較的見つけやすいといいますが、こうした上昇がどこで止まるのかを判断するのはかなり難しいものがあり、比較的すぐ終わるのか11月の米国の中間選挙まで走り続けるのかを足元で判断するのは非常に難しい状況になっています。

なにより為替で見ますと米国の株価上昇などなんの関係もないのが実情で、債券金利の上昇にも相場はついていかないのが直近のトレンドになっていますから、全くプラスに働くようには見えず、非常に投資判断に悩む時間帯に差し掛かってきています。

だだ、債券市場のほうにはわずかながら変化の兆しがみえてきており、これをどう判断するかが大きな注目ポイントになりつつあります。

米10年債の買い持ちから売り持ちにシフトのファンド勢

ここへきて米10年債利回りは2.66％を付ける場面もあり、また一段と上昇傾向にあります。新債券の帝王ジェフリーガンドラックに言わせれば３％に到達すると債券相場も株式相場も大きな変動が訪れるという見方をしていますが、そのレベルに着々と近づきつつある状況です。

ここで注目されるのがファンド勢の米10年債の保有状況ですが、最新のIMMの持ち高を見ますと新しい動きが見えてきます。

Data IMM

昨年からファンド勢の米10年債の買い持ちが非常に多かったのですが、年があけてからは逆に売り持ちが増えはじめ1月9日には19万7000枚近いショートがでて、一旦減ってはいますが、1月16日段階でもマイナス8万９０００枚レベルと明らかに売りが増加傾向にあります。

同じファンドの中でも先行きに対する見方が異なってきていることが容易に推測できますし、なにより実際の金利が３％に接近しつつあるわけですから、少なからず金利の上昇を警戒し始めているところが増加していることが窺えます。

果たして現在のこうした動きが実際に相場の変化をとらえているものなのかどうかはもう少し見守らないとわからない部分が大きいところですが、売りが嵩む前に米債を処分しておきたいという心理が働いている可能性もありそうで、外側からみると全く変化が見られないゴルディロックス相場ではありますが、徐々に地殻変動が起こっている可能性は考えておく必要がありそうです。