23日日銀の政策決定会合とその後の黒田総裁の会見を通過して、一瞬111円台まで戻したドル円の動
きで、短期の投機筋がしかけたドル売り円買いが完全に失敗に終わったかのように見えたドル円市場でしたが、ロンドンタイムからは完全にユーロドルが主役の世界でユーロの上昇とともにドルは売られドル円も110円20銭台を彷徨う低迷ぶりを続けています。
ドル円単体で見た場合、テクニカル的には下値を試しそうな雰囲気はありますが、これといって大きな材料があるわけでもなくしかも毎回お知らせしているように米国の10年債金利はなにがあっても2.6%を割らなくなってきていますから、金利的にみれば大きく下げを呼ぶ状態ではなくなっています。
FX市場は相対的な動きの集合ですからこうした流れになるのもわからないではありませんが、かなり理解しにくい動きとなっていることだけは間違いありません。市場ではドル円のロングにかなり投げがでたという話も伝わってきており、やはり上昇すると見ていた向きが110円30銭を切ったところで我慢できなくなって一斉に投げた可能性も出始めています。
ただ、今度はショートに傾き始めてまた大きなショートカバーもでる可能性がありますから、難しい局面でもあります。
実需や準公的機関の買いがでないと109円台下抜け?
テクニカル的には1月中盤で一旦109円台に入りそうな気配濃厚だったドル円ですが、神の見えざる手なのかどこかの誰かの強烈な買い支えも入って結局109円台には突っ込まずに終わっています。
しかしこの状況が長く続けばさらに下方向を試しに行くリスクは高くなりそうで、どこまで下落についていくかが大きな課題になりそうです。また25日にはECB理事会も控えていますので、上昇したユーロが瞬間的に下落する可能性も十分にあり、ドル円が一方的に下方向に動くと断定するのも危険な状況です。
これまで109円台で買いをいれてきた本邦の準公的機関がここを買い支えることになるのかどうかも大きな注目点で、多くの国内企業の社内為替レートがちょうどいまのレベルに設定されているだけにこのまま110円を割り込んで下方向に推移するようですと、今年度の本邦企業決算にも影響がでるだけに非常に注目の集まるところです。
為替の動きははっきりしない状況が続く
株と債券にくらべて為替にはあまり明確な方向感が表れていない印象が高まっています。相場の関心がそこにないと言ってしまえばそれまでですが、月初に勢いよく上昇してスタートダッシュを切ったわりにはドル円は元気がなくなりつつあるようです。
輸出勢はすでに今年度の為替の分の確保は終えており、比較的単発的にその場その場で対応してくる輸入勢の買いと機関投資家などに買い余力がどれだけ残されているかで相場の動きがきまりそうです。
全体として考えてみますと、確かにユーロは上昇していますが、この相場はドル安がどこまで進むか試しているようにもみえ、ユーロ円のようなクロス円は中途半端な存在になってきています。
ドル安相場であってもドル円だけは特別な動きをすることが多くなるだけにここからの動きを判断するのはなかなか難しそうです。ちょっとしたことから流れが変わることもありますので、あまり長くポジションを保有するというよりは利益がでたらどんどんリカクして積み上げていくことを考えていきたいと思います。
FX相場はいつでも簡単ということはありませんが、想定と違う動きが長引いてしまうと売買も鈍りやすくなりますので、短い時間足でも明確なトレンドがでるときに向けて売買するというのもひとつの発想なりそうです。
おそらく今週はECB理事会が終わるまではずっとこの調子が継続するものと思われますが2月に向けて流れが本当に変わるのかどうかも注目していきたいところです。
(この記事を書いた人:今市太郎)