ドルは円についてもユーロについても想像以上にドル安が進んでいます。
これが円高であれば本邦の知られざる神の手とも呼ばれる準公的機関と機関投資家やゆうちょなどがタッグを組んだ下値での買い支え軍団が暗躍し、なかなかドル円の下値が下落しないことが多いわけですが、今回の状況は単に円高が進んでいるのではなくドル安ですから、ドル円だけを買い支えようとしてもほかの通貨の動き次第ではその価格を維持できない可能性が高まりつつあります。
果たして今回はどのような下支えをこうした軍団が行っていくことになるのかが非常に注目されます。
昨年9月段階で107円台を割らせない動きがつよく表れたのはやはり本邦機関投資家が相当下値を買い支えたからのようで、今年もその動きを前回同様に強力に出してくるかどうかで、相場は下抜ける可能性はありそうです。
実際上値が相当重たいことで110円台の買い支えは断念しているようにも見受けられ、もう少し下にターゲットをおいている可能性も考えられます。したがって107円ならだれかが買い支えてくれるおt勝手に思い込むのはこの段階ではかなり危険です。
ドル安だからクロス円は大きく下落しない
Chart みんかぶFX
本邦の個人投資家が比較的好んで売買するドル円、ユーロドル、クロス円の相対的な状況をみますとドル安が起因して相場が推移していることは明確で、ドル円が下落、ユーロドルはまったく逆相関で上昇、それ以外のクロス円は蚊帳の外で大きな動きにはなっていないことがわかります。
ユーロ円がドルにもユーロにもついていかずにモラトリアム状態になっているのがその典型でありこの状況下ではクロス円の売買はあまりうまみがないことがわかります。果たしてこうした状況でドル円の円高だけ買い支えて本当にドル円が上昇するのかが大きな疑問になります。
おそらく107円台ではまたそれなりの影の軍団が買い支えて下値を支えることになるのでしょうが、投機筋のドル円ロングも異常に増えてきていますので、投げがでれば支えきれずに下抜けするリスクは結構高まることになります。
このタイミングにそこまで大きく下押ししなくてはならない理由も存在しませんが、相対的な関係で動くのがFXですから、理不尽に見えても相場の動きについていくしかないのが正直なところです。
ここからはあまり値ごろ感だけで買い下がるのではなく、底をしっかり見据えてから売買することが必要になりそうですし、戻り売りは相当登場しそうなので、上値は想像以上に重たくなることが予想されます。
逆相相関にあるユーロドルはここのところ上髭が何本も出始めていますので、短期間の上昇としては一旦いい線までやってしまった感もありますが、それでも1.25レベルですからこれでお仕舞いと言い切るわけにもいかない状況で、さらにここからの動きを注視していきたいところです。
投機筋もドル円をレベル感で買ってしまった気配濃厚
IMM data as of Jan.23th.
昨年から投機筋のドル円ロングはかなりの規模で越年をしたものの直近で少し減りそうな動きも見せていたのですが、1月23日段階ではまた買い越しが増えており、その後大幅に下落して108円台までつけたところでこのロングのほどき売りがどのぐらい出たのか荷も注目が集まります。
だいたい13万枚に近づくとかならずドル円は調整で下落することが多いだけに一段と増えてしまったこの週の動きがドル円の上昇を阻んでいる可能性はありそうです。
プロでもアマチュアでも米国の10年債金利が2.66%%まで上昇すれば、ドル円が一方的に下落すると判断する向きが減るのは当たりまえのことで、多くの市場参加者が相場の見立てを間違ってしまっている可能性も否定できません。
(この記事を書いた人:今市太郎)