読み込み中...週末の金曜日のドル円相場は久々に雇用統計の結果を受けてすんなり110円台に戻す動きとなりましたが、相場全体ではNYダウの激しい下落のほうが目につく状況で110円台中盤から上には当然戻すことができず、かろうじて110円台を守る形で週の取引を終えています。
ただ、毎回申し上げている通り、雇用統計はほとんど投機筋と個人投資家のお祭り騒ぎにすぎないため、買い上がっても反対売買がでればそれなりに沈み込んで行って来いの動きになることが多いため、来週以降110円台を死守できるのかがどうかが大きなポイントになりそうです。
この間、米10年債利回りはすでに2.8％台に入り込んでいますから、本来ならばもっと高値を模索してもいいドル円ですが、この上昇は必ずしも金利に連動したものではないだけにユーロ買いの動きが週明けに強まることとなればまたドル円は下方向を探る可能性もでてきてしまいます。
今の材料だけでドル円が買いあがるのはかなり難しそう
日米金利差という視点は確かにありますが、ドル円の場合多くの時間日米金利差だけで相場が動いたことはないので、ここから米債利回りの上昇で改めてドル円が買い進まれるとはなかなか思いにくいのが現状です。
テクニカル的には108円台で一旦底を打ったかのようにも見えますが、かと言って111円台をどんどん上伸するとも思えず、またもとに戻るリスクも依然高くなりそうな気配です。
株価との連係にも注意が必要
むしろ気になるのは株価との連係の問題です。日経平均はドル円が上昇しないからこそ低迷している感がありますが、米国株安には必ず追随する局面があることから日経平均の下落が短期的かつ東京タイムではドル円の上昇をかなり重くするリスクは高まりそうです。
また一旦大きく下げた米国NYダウも今回の下落だけでおさまったかどうかはまだわからず、さらに下値を模索する動きが続けばドル円も再度円高方向に動き連動して下値を伺う動きになりそうです。
既に5％近い下落をみたNYダウがここからトータルで10％以上の下落となればドル円に影響を与えないはずはないだけに週明けは債券金利のさらなる上昇とNYダウの相場動向に継続して関心が集まりそうです。
果たして今回の米株の下落が一時的な調整なのかさらに大きく下げる前兆なのかはまだよくわかりませんが、一定レベルを超えた債券金利の上昇には確実に株価が嫌気することがあらためて確認されたわけで、ゴルディロックス相場はなんでもお構いなしというわけにはいかないことが明確になってきているといえます。
足元では2年債と10年債のスプレッド差が10年債の利回り上昇で少し戻していますが、また2年債が後追いで金利上昇となれば高い金利レベルでの際フラット化につながることも考えられ、こちらも注意が必要になります。
Data YChart
昨年までなんでもお構いなしに上昇してきたそれぞれの相場にそれなりの変化が現れ始めている点は大注目で、結局取り越し苦労に終わっても相当下落方向を意識しながらトレードすることが重要になりそうです。
米国の景気指標は決して悪いわけではありませんが、ある意味金融経済だけが良好な状況を保っており、しかも一部の富裕層だけがその利益を享受しているに過ぎませんから、国民全体の可処分所得が上昇しているわけでもなく、今後インフレを視野に入れた金融引き締めが進めば金融市場は実態経済に先行する形で状況が悪化していくリスクが高まりそうです。
危ない危ないと言われ続けた昨年の相場ですが、いよいよ今年大きな転換点がやってきそうにも見え、週明けからの相場も気を抜かずに変化を確認していくことになりそうです。
金利の上昇は長く相場に漬かっていると大した問題ではないように思われるものですが、過去100年以上の米国の金融市場の歴史の中では過度な引締めが相場を大きく変化させているという事実は忘れてはいけない事実です。
（この記事を書いた人：今市太郎）
