先週一旦108円手前まで上昇し、ここからはさらに上を狙うのかとも思われたドル円はダブルトップで力尽きとうとう106円台に逆戻りとなりましたが、NYタイムでは何度下押ししても今度は106.500円を明確に割れなくなってしまい、週末は一応陽線引けというかたちで、また上方向に戻しそうなわけのわからない動きに終始しています。
今週は一体どうなるのか?がまたしても悩ましい一週間になりそうです。
ドル円は米10年債利回りと正相関の関係が回復か?
日足以上の長い足のチャートで見ますともうひとつ先行きがよくわかりませんが、1時間足だけで見てみますと一旦107.896円レベルをダブルトップでつけたあと、下落してきた相場はなんとか週末の終値でちょっとだけ下落のとエンドラインを上抜けたことから、週明けは107円台に多少は戻る動きになりそうな気配が強くなっています。
ただし、足元では大きくドル円を買い上げる材料が存在するわけではありませんから大きく跳ねたところはまた戻り売りのチャンスになりそうです。ひとつ興味深いのは先週中盤からドル円が米10年債の金利の動向に同期しはじめてきたことです。
金利の上昇で大きくドル円も上昇するといったほど顕著な動きはしませんが、一応金利上昇局面ではドル円の価格も上昇する動きが確認されていることから、正相関が戻りつつあるのかもしれません。
28日のパウエル新FRB議長の議会証言にも注目
今週は28日のパウエル新FRB議長の議会証言でどのような発言が飛び出すのかにも注目が集まります。
先般の株価暴落ではすかさずFRBとして緩和措置に乗り出したパウエル議長ですから、今後の株価次第では金利の上昇をさらに遅らせることも考えられますが、トランプが繰り出す政策はことごとくコストプッシュインプレを起こしかねない状況だけに、妙に政権に忖度した政策を継続した場合バブル相場は一旦持ち直してもそのあと激しい下落に見舞われる可能性もあるだけに、金利を上げても地獄、そのままにしても地獄の先送りになるリスクがあり、果たしてどちらを選択するのかが大きな関心事項になりそうです。
仮に利上げ継続が強く示された場合一時的にせよドル円は上昇することが考えられますが、弱気な発言がでればそれなりに下落することが予想され、注意が必要になります。
トランプは北朝鮮に何か手を打つのか?
いよいよ平昌オリンピックも終了ですが、ここのところ融和ムードたっぷりの北朝鮮に対してトランプがどう仕掛けてくるのかも気になるところです。
先般のフロリダの学校における銃乱射事件後学生などとの対話集会に登場したトランプは学校の教師がガンをもって応戦すれば立ちどころに問題は解決するなどと、かなり国民感情から離れたことを平気で口走っていますが、北朝鮮に対しても対話路線で解決しようなどとはほとんど思っていないはずで、ここから先何かが起こるのかどうかに依然関心があつまりそうです。
いまさら戦争するのかという懐疑的な部分も大きいわけですが中間選挙にむけての明確な人気とりに利用するなら北朝鮮は中東よりも米国にとっては成果の出しやすい場所であるだけに春先にむけて何か事が起きる可能性が十分に考えられます。
最後に早いもので、2月も今週がお仕舞いということになりますので、月末の特別な需給がでる可能性にも注意が必要です。既に先週あたりからロンドン、NYタイムにドル円の円へのレパトリ需要が出始めているとの話も市場に出回り始めており、需給面からドル安円高がすすむことも想定する必要がでてきています。
為替相場は一定のトレンドがでても上下にぶれながら動いていくことが定石となっていますので、一旦105円台半ばまでつけた下落トレンドがさらに続くリスクも十分に意識しておかなくてはなりません。
(この記事を書いた人:今市太郎)