早いもので今週からは3月相場に突入します。米国の株式市場はFRBが慌てて2月の暴落直後にモーゲージ債の買い入れを行うことにより市場に流動性を供給したことから、最後にはFRBが助けてくれるという不思議な安堵感が広がって大きく値を戻した状態で2月相場を終えそうな雰囲気です。
しかし、先般のVIX起因の大幅な損失の敗戦処理はまだすべてが終わったわけではなく、証券業界は決して暗いことは言いませんが、まだ暴落が終わったわけではないこと多くの市場参加者が認識しており、さらに相場が変化してこのまま元通りには戻らなくなっていることを強く感じ始めているようです。
米債金利の上昇がどのような影響として現れるか注目
先週の段階で米10年債金利は3%すれすれのところまで接近しており、3月相場ではもはや3%超突破は間違いない状況にあるといえます。
米系の一部の金融機関は3.2%程度まで上昇するのではないかとみているようですが、最大の問題はこの金利がいくらまで上がるかを予想することではなく、金利上昇がどのような形で市場に悪影響を与え始め、それが相場に示現してくることになるかということになります。
この間、常に低金利相場からの若干の金利上昇は実態経済にも金融市場にもほとんど影響を与えないというかなり楽観的な見通しの雰囲気が支配してきたように思えますが、過去の相場の経緯を知る市場関係者は必ずしもそうではないと気づき始めているようで、まずは債券相場、そして株式相場に波及する形でネガティブな影響が出始めることを非常に懸念しはじめています。
ゼロ金利状態、かつ過剰流動性で買うものがないなかで徹底してイールドハンティングを行った結果がVIXの逆張りなどというありえない市場を生み出したわけですから、3%程度と言えども金利が上昇しはじめている局面では相場に影響を与えないはずはないわけで、それがどのような引き金を引きながら大幅下落になるのか、またそのタイミングが正確にいつなのかはまだ誰にも判らないというのが実情です。
しかし賢者はすでに市場から降りていますし、レイダリオのブリッジウォーターはとうとう日欧の株式市場でショートを始めており、それぞれの投資家が下落に対する準備を始めているようにも見えてきます。
この3月は個人投資家にとっても要注意時期
市場は新任のパウエルFRB議長がとりあえず3月のFOMCでどう判断して市場をリードしていくのかに大きな注目を集め始めています。
それと時を同じくするように米債の金利も上昇をはじめており、ここだけ切り出してみてもこれまでのゴルディロックス相場とは様相が異なり始めていることは明らかです。
為替に関していいますと1月後半あたりから債券金利の上昇とまるで逆相関のような動きをしていたドル円が先週後半あたりからまた金利上昇についていこうとするかのような動きを始めているところが気になります。
もちろん米10年債3%超のレベルに連動するならドル円相場は116円以上の価格を示現してしかるべきですが、まったくそこまでの上昇は見込めませんから、連動しはじめたといっても非常に限定的なものではありますが、金利の変化に市場がざわつき始めていることだけは間違いありません。
2月5日から始まった大きな相場下落はまだ二番底をつけていないという見方が非常に強まっています。それが嘘か本当かはここからの相場を見ていればわかることですが、3月については相当注意深く相場に接することが必要になりそうです。
すでに為替市場は垂直に上げ下げする粗い相場が継続中で、長い時間足でエントリーして売買するとかなりやられそうな雰囲気が高まっています。相場に入るならかなり短い時間足で長く滞留しないことが重要になりそうです。
(この記事を書いた人:今市太郎)