読み込み中...ゴールドマンサックス（GS)がかなり驚くべきレポートを開示して話題になっています。
これは同社のエコノミストのダーン・ストゥリュイーベン氏が発表したもので、そこまでいくことはないという前置きをしたうえで、年内に米国10年債利回りが4.5％にまで跳ね上がった場合、ほぼ25％の株価下落が予想されるとしているのです。
Data Bloomberg
なぜ起こりえないことを発表するのかというのが基本的な疑問になりますが、やはり経済はなんとかなったとしても株価だけは金利の上昇を切り抜けることはできないという強い示唆をこのレポートは与えてくれていることがわかります。
問題は4.5％にまでは到達しないとしても米10年債３％超になった段階でどれだけ債券市場と株式市場に変化が訪れるかで、ここから春先3月のFOMCの開催までは非常に相場のうごきが気になる時期になってきてしまいそうです。
GS自体は年末までの10年債利回りは3.25％と予測
ゴールドマンサックス自体はこの極端な数字を挙げてはいるもののメインシナリオとしては今年年末までの10年債利回りは3.25％と予測していますが、足元の状況から考えれば目と鼻の先が3.25％でFRBが3月のFOMCで利上げを継続した場合簡単に到達してしまいそうなレベルともいえます。
ざっくり考えてみますと、トランプが大統領に当選した段階から6000ドル以上NYダウは値を上げているわけですから現状の株価レベルで25％の下落となれば2万ドルを切るか切らないかぐらいのレベルにまで相場が下落することが予想されるわけです。
もちろんそこまでにはならないということを今回のレポートは指し示しているのだろうとは思いますが、為替で考えた場合にはトランプ大統領当選直後の101円18銭レベルまで巻き戻る可能性は十分にあるとみていい話しになってきてしまいます。
一つだけ確実なのは金利の上昇が株を下げるということ
どこまで、いつ下げるのかを当てるほど難しいことはないわけですから、100歩譲るとしても米債の金利、とくに10年債の金利がシンボリックに上昇すると確実に株価が影響を食らって下落するということはゴールドマンでもしっかり認識していることがわかります。
ことによるとゴールドマンが想定している以上にオーバーシュート気味に下落する可能性も十分にありうるわけで、ここからの相場はそれをどこまで想定するのかが難しくなりそうです。
レイダリオは日欧の株をビッグショートで対応
世界最大のヘッジファンドであるブリッジウォーターアソシエイツのレイダリオは、すでに日、欧の株式をかなり巨額のレベルで空売りを始めていることがいくつものメディアで取り上げられ始めています。
いまのところすぐに暴落が来ると想定しているわけではなく最大2年先ぐらいまで見越した動きのようですが、金額はかなり大きいようで、いよいよファンド勢が逆張りを始めているところが非常に注目されます。
市場ではレイダリオの動きに反論する向きも登場しており、すべてのファンドが同一の視野をもって売買をしているわけではありませんが、やはり多くのプレーヤーが異変に気付き始めており、それに対応した売買を仕組み始めているところがとても気になります。
足元の相場は日米ともに大きく株価が値を戻し、何事もなかったかのようにもとの世界に戻ろうとしているように見えますが、本当にもとに戻れるのかは疑心暗鬼が続いていることも事実で、地殻変動は静かに進みつつあるようです。
異常に警戒していたのではトレードにはなりませんが、とにかく下落という局面はストップロスを入れていてもとんでもないことに巻き込まれることになるわけですから、為替でいえばいかにドルロングを買わないようにするかというのも大きな課題になってきそうです。
（この記事を書いた人：今市太郎）
