NYダウは昨晩トランプによる鉄鋼とアルミニウムに対する関税導入を受けて420ドル以上の大幅下落となり、場中には500ドルを超える暴落に近い場面もみられました。
ドル円も株価の下落には敏感に反応しパウエルの下院議会証言が始まるあたりに107.200円を超えるレベルにあったものがそのごずるずる下落して106円を割らんばかりの動きになっています。
東京タイムではこのままでは下押ししかねない状況でまたしてもトランプ起因で円高が走り始めています。連日のNYダウ3桁下落はかなり強烈で、東京タイムの日経平均にも大きな影響が出そうに見えます。下手をしますとまた2万1000円割れとなり、ドル円がその下落に連動して下げを加速することも考えられます。
トランプが持ち出す保護主義政策は悉くインフレの材料
トランプ大統領は就任前の政策を単に粛々と現実のものにしようとしているつもりなのでしょうが、メキシコ人の排除、移民をこれ以上とらない政策、そして保護主義的な今回の鉄鋼とアルミニュウムの関税実施などはどれもコストアップインフレに結び付くものばかりで株式市場が嫌がるのも当然の成り行きとなっています。
年初までは減税とインフラ投資がなんとか11月の習慣選挙までじり高の株式相場を温存することになるのではないかとみられてきましたが、足元ではほとんどレーガノミクスの失敗をなぞるようなイメージが増幅中でトランプ起因で相場が暴落しかねない嫌な雰囲気になってきています。どうも相場はさらに下を目指しているように見えます。
パウエルが忖度して利上げを先送りすればバブル温存か
ただ、次回FOMCでパウエルFRB議長がトランプの政策を忖度して利上げをさらに後ずれさせるようなことがあれば一時的に株価の下落は留まる可能性がでてきます。
2月の株価暴落時にもこっそりMBSの110億ドルの買い付けを実施してステルスQEではないかと市場で話題になっているパウエル議長ですが、こうしたやり方が続けば現象的には相場の下落が収まっても先にいって本格的なコストプッシュインフレに誰も対応できずトランプ、パウエルコンビでギブアップの重大なインフレ示現に直面する可能性もではじめています。
本格的なインフレが急激に到来した場合これまでのようなFRB主導によるQEでは対処ができなくなることは明白で、想像以上に危機的な状況にトランプ・パウエル体制が直面し始めているこをがあらためて理解できます。
心配なのは二番底ではなくさらなる底抜け相場
米国では多くの市場関係者が、2月の暴落相場の影響は終わっていないとみており、二番底はまだこれから来るのではないかと危惧しはじめています。
そこに今回のような保護関税策が上塗りされた場合、相場は二番底ではなく、さらに底が抜けて大きな下落につながることも視野に入れておかなくてはならなくなってきました。
為替のほうの話にフォーカスしますと、もう一度105円台をトライする動きがでるのは時間の問題で、今回の下落で105円が下抜けることになると100円方向に向けてどこまで下げるかはよくわからなくなってきます。
株価が大きく下落する局面では資金が米国から逃げていくことも含めてさらに円が買われる可能性は高く、果たしてどこまでの下押しが示現するかは実際の相場を見てみないとわからないというなかなか厳しい状況に直面しそうです。
本日は満月でお日柄的にもドル円は円高になりやすいタイミングですが、果たしてどのレベルで越週するか次第では来週早々の相場にも大きな影響がでそうな状況になってきました。
ショートが溜まりすぎればショートカバーも出やすくなりますが、ここからは丁寧な戻り売りをして下落に備えるべき時になってきているようです。