先週はどうもドル円が下押ししてきそうな嫌な雰囲気がチャートから漂いましたが案の定また105円台に突っ込む動きとなりました。
しかしこの相場、株もしかりで一方向にいっぺんに動かず上下動から徐々に下がるという動きが強くなっていますからこのまま週が明けたら105円下抜けでさあ大変となるかどうかはまだわからない状況です。
ドル円4時間足ドル円の4時間足を見ますと結局2週間あまりかけて105円台の底値を抜けてきた形で週明けに大きく下落しなければ下髭がでているだけに一旦戻る可能性も否定はできません。
ここから突込み売りをしてもそれほどとれるわけではないリスクも残りますから、とにかく引き付けて戻り売りを心掛けるしかなさそうな状況です。
トランプ関税の適用詳細発表でさらにドル安も
とにかくトランプが打ち出す保護主義政策はことごとくコストプッシュインフレの元凶となるようなものばかりですからインフレ懸念は日々強まる状況で株安や債券安が継続すれば、米国内から資金が逃げ出し始めている印象もかなり強まっています。
こうした政策が常態化してきますと、ドル安も定常的な方向になりかねず、債券金利の上昇は最近多少ドル円を持ち上げる材料として復帰はしてきていますが、何かあるごとにドル安円高が強まるリスクが高まりそうです。
ただ、トランプの打ち出す鉄鋼とアルミの関税は前々から話がでていたものですから、これが登場したから株価が大きく下げたという話も後付感が強く、やはり2月の二回の大幅下落の後遺症としてすべての敗戦処理が済んでいないとみるほうが正しそうな状況でもあります。
トランプは政策と発言のすべてに二面性がある存在
トランプ発言と政策の履行にはかなり乖離した面も多くみられるようになっており、何が本心かよくわからないという指摘も強まっています。
とくに株価に関しては上昇すれば自分のおかげであると言い続けていますが、もともとトランプ自身は株価の高値維持にそれほど興味がないのではないかという見方もあり、利上げで株価下落しはじめても実は我関せずというまさかの姿勢に転じる危険性もあると指摘するウォール街関係者がではじめているようです。
彼はもともと政治家ではありませんから、選挙前に掲げた公約を粛々と実現しているかなりぶれない存在でもあり、ここのところの米国大統領としては異例と思われるほど妙な公約であっても当初掲げたものをかたくなに進めているところがあり、なにがあっても保護主義化はこのまま進めてしまう可能性がかなり高まってきています。
となると第二のレーガノミクスが確定となるリスクはかなり高く、ドル円は政治的なプレッシャーを受けて結局100円割方向へ進んでしまうのかもしれません。
テクニカル的には戻す部分も考えられますが、それにもまして政治的なプレッシャーがドル円を押し下げることになるというのも間違った見方ではなさそうです。
105円ジャストには分厚い買いがある模様
ここからの下値ですが、まず105円にはかなり分厚い買いがあるようで、これを下抜けするのには相当なエネルギーが必要になりそうです。
また下抜けすると104.96円が2016年11月10日トランプ当選の翌日のドル円の価格となっており、これを抜けると同年の選挙前の11月8日の104.29円が見えてくることになります。
しかしどちらもたいしたサポートラインではありませんから、勢い込んで下がればもっと下を目指す危険性はかなり高そうです。現状では106円台がすでにかなり重くなっていますので、ショートが溜まり過ぎて跳ねるといったことがないかぎり、そう大きく戻ることも考えづらい状況です。
とにかく突込み売りは避けて一定の戻りがでたところで売りから入るというエントリーを続けていくことが賢明です。108円を超えてくるようになると景色もだいぶことなりますが、そこまでは延々と今の状況が続くのかもしれません。
(この記事を書いた人:今市太郎)