昨日のロンドンタイムに北朝鮮が非核化について米国と協議する意向を表明との報道を受けてドル円は一時的に猛烈跳ね上がる展開となりました。
メディア報道の見出しだけみればアルゴリズムでも飛びついて買いたくなる報道内容ではありますが、果たして両国が会談したときに話がかみ合うのか、はたまた新たな要求が飛び出して結果的に失敗に終わることになるのかは正直なところ実際に行われてみないことにはわからないのが実情で、とりあえずドル円は一旦買われたものの、貿易問題が相殺する形で動きの方向感ははっきりしない状況です。
形はひどくよろしくありませんがドル円はダブルトップを打った形となってしまっており、ここから上にも進み辛い状況をかかえています。
冬季五輪からいきなり表舞台に登場した北朝鮮
今回の平昌オリンピックは平壌オリンピックと揶揄されるほど北朝鮮の存在が目立つものとなりましたが、やはりオリンピック後に動きが見えてきたわけで、ある意味ではプレッシャーをかけ続けようとして日米よりは、韓国の貢献度が大きい話しになるのかもしれません。
トランプ大統領は制裁の効果が上がったからこそ北朝鮮は心から話し合いに応じようとしているのだとまたしても自画自賛を繰り返していますが、果たして本当にそうなのかが注目されます。
この狸とキツネの化かしあいのような会談が実を結ぶ形となればドル円はかなり上伸材料になることは間違いありませんが、アジアと米国にとっては気になる問題でも世界的な規模でいうと北朝鮮問題は大きなトピックにはなっておらず、足元の米国の経済と金融動向や貿易戦争の問題から考えるとプライオリティの高いものとは必ずしも言えなくなっていることが気になります。
リスク要因はひとつでも減ることが望ましいのは間違いありませんが瞬間芸に終わることが危惧されます。
すでに市場は北朝鮮問題と貿易戦争問題で綱引き状態
昨晩のNYタイムでも市場は北朝鮮のあかるい状況と貿易問題の暗い状況で市場が綱引きをはじめており、メディアのヘッドラインが踊る毎に相場は上下に大きくブレる状況になってきています。
北朝鮮との会談は4月に予定されることになりそうですから、これ以上突き詰めた報道が飛び出す可能性は低いものと思われ、その賞味期限切れた心配されるところです。
昨日の相場状況を見ていても、やはり相当なプラス要因となる材料が飛び出さないと106円台中盤を超えていくことはできないことが明確になりつつあり、市場は依然として下値方向を模索するリスクがかなり残っていることがわかります。
ここのところオプションが相場の邪魔をすることが多く感じられますが、今週106円ジャストと105.500円のオプションが連速して期日を迎えますので、オプションをバックにした売買が姿を消すのもそう先のことではなくなってきており、さらなる動きがどうなるのかに注目が集まります。
株式相場は今週金曜日の東京タイムにメジャーSQを控えており、仕掛け売りも出やすくなることから、株価動向にドル円が振らされるリスクも今日、明日は相当強く意識しておくべきでしょう。
ただ、ドル円が105円台を割るためには、こちらも相応の理由がほしいところで、現状では下値にそれなりの買い意欲もではじめています。輸出勢はすでに今期三月末から四月はじめぐらいまでの為替の手当ては完全に終えていますが、先行きのドル安円高を想定して前倒しで予約に動いてくる可能性があり、実需が相場の上値を猛烈に抑える動きが3月中に加わる可能性もではじめています。
多くの市場参加者がドル円は上よりも下の可能性を感じているだけに輸出勢のこうした動きが顕在化しますとここからの上値は相当重いことになりそうです。
(この記事を書いた人:今市太郎)