ゲーリーコーンNEC委員長がとうとう辞任したことで東京タイムに大きく売られたドル円でしたがさすがにこの件ひとつだけでは下落は続かずNYタイムには106円台まで買い戻される動きがでています。
しかし、政権内で数少ないまともな良心を失ったことで、トランプ政権の関税による貿易政策はさらにエスカレートする可能性が高まっており、金融市場は引き続き最大限の注意が必要になってきています。
政権の残党は軍人上がりと保護主義強硬派が主流
トランプ政権にはトランプと気が合わないティラーソン国務長官がかろうじて残っていますが、今やトランプの周辺にはケリー、マクマスターの両補佐官に、マティス国防長官を加えた3人の軍人出身の側近に加えピーターナヴァロ、ウィルバーロスなど名うての保護主義強硬派が脇を固めており、関税政策が単なる恫喝の手段とは思えない状況になってきています。
実際コーン議長はウイルバーロスなどとも関税を巡っては、相当な激論となったようで政権内でも想像以上の対立が起きたことを示唆しています。
恫喝のためのポーズか本気かの見分けがつかない
トランプの暴露本でも明らかになっていることですが、周囲の関係者によればトランプの行動原理に国益という概念はないようで全てトランプ自身の利益に基づくものが優先されるとされていますから、まともな国の利益を考える人間と話が合わないのは当たり前で、ゴールドマンサックス出身者とも実はまったくそりが合っていないことがよくわかります。
世界最大のヘッジファンドであるブリッジウォーターアソシエイツのレイダリオは関税発言はトランプによるいつもながらの政治ショーにすぎないとの発言を行っていますが既にトランプの周辺にまともな良心をもった人間がいない以上、本当に暴発することは十分に考えられ、高をくくってはいられない状況になってきていることがわかります。
中国の報復次第では米債暴落のリスクも
また今回の関税騒動で敵視されている中国の出方も気になるところです。もし中国がこの関税政策の報復措置として世界でもっとも保有している米債を売り浴びせ始めれば米10年債利回りはあっというまに4%を超える状況になり、まずFRBの金融政策が大きく狂い始めることになりますし、なにより米国の債券市場がパニック状態になり投げ売りがさらに進んで金利をコントロールできなくなる可能性がでてきます。
当然のことながら株式市場のパニック売りも進むことになるのは間違いなく、トランプ起因で米国の金融市場が大幅下落に直面する金融戦争へと発展するリスクもかなり高まることになります。
ここからは暴落への準備が必要か
トランプが仕掛ける足元の関税問題がどのような形で終息するのかはまだよくわかりませが、いずれにしても金融市場にプラスに働くことは全く考えられません。
しかもそのほかのトランプ政策が招くであろうコストアップインフレはかなり深刻で、この貿易戦争が沈静化しても米国の金融市場は相当危ないところにさしかかってきています。
もはやいつ大幅下落を示現してもまったくおかしくない状況ですから、売買をやめるわけにはいかなくても、いつ暴落が起きても対処できるような準備が必要になりそうです。
まずポジションは過度に持たないこととストップロスはできるだけ浅く設定してまさかの時に値飛びに巻き込まれて損切がつかないなどということのないようにするべきでしょう。
下落局面を押し目とみるのは相当危険です。押し目のはずがさらに底抜けて大損するのがバブル崩壊の決まり事ですから、必要以上に用心することが重要になりそうです。
すでに米国の金融市場から資金が逃げ出そうとしていますから為替の世界でもドルが強含む可能性は極めて低くなってきています。実に嫌な雰囲気が漂いはじめているようです。