読み込み中...まさかの米朝会談実現かという報道で一気にリスクオフの展開になった金融市場でしたが、結局今頃になって北朝鮮が在韓米軍の完全撤退を前提条件に持ち出してきているようで、このままでいくとまともな米朝会談が実現しない可能性もでてきてしまいました。
実際にこの会談の実現がどうなるかは今後の展開次第ということになるのでしょうが、少なくとも為替の世界では、米朝会談実施だからドル高円安というシナリオはかなりかき消されることになりそうです。
ただ単に米韓を揺さぶるだけのつもりか？
北朝鮮の朝鮮労働党の機関紙「労働新聞」は14日の電子版において、在韓米軍の駐留費負担を巡る米韓両国の協議を批判し、韓国国民が望んでいるのは在韓米軍の「無条件の撤収だ」とする論説を掲載し、最終的に米朝首脳会談で非核化の条件として韓国からの撤退を求めるのではないかの説も高まりつつあるようで、一筋縄ではいかない交渉になりそうな状況です。
これが前提条件になるとすれば米国が簡単に交渉に応じることにはならないことも考えられ、韓国が伝聞だけをベースに米国に持ち掛けた米朝会談はまったくうまくいかないという結末もでてきそな微妙な情勢になってきています。
少なくともこれではドル円の上昇支援材料にはならないのは明らかであり、さらにドル円の上伸が難しくなってきていることがわかります。
ティラーソンがいなくなり戦争礼賛者ばかりのトランプ政権
トランプ政権といえば穏健派で数少ないまともな存在だったティラーソンが更迭されてしまったことから、政権内は軍人上がりと強硬派ばかりが目につく有様で、一体だれが北朝鮮と調整作業をするのかが非常に危惧される状況です。
一旦は会談という流れになりましたが、これがお流れになったり破談ということになれば逆に戦闘による解決に近づく可能性すらあり、何とも言えない微妙な情勢が展開しそうです。
トランプのことですから北朝鮮に乗り込んでいくことも考えられ、かなりセンセーショナルな会談となりそうな気配もありますが、果たしてこれが実現し一定の落としどころを見つけられるのかどうかが相当難しそうで、ここからはうまくいかない話のほうに市場が反応しそうな嫌な予感もしてきます。
再度下値を試す可能性は高そう
どうも実際のドル円相場を見ていますと107.200円から上は異常に売りが終結しているようで、一筋縄ではこれを突破することは難しそうな雰囲気が高まりつつあります。
しかしその一方で106円もかなり底堅く推移しており、昨晩のNYタイムもぎりぎりまで攻め込まれましたが、結局一発では106円が割れないまま東京タイムに戻ってきています。
このままでは上にも下にもいかない狭いレンジ相場が延々と続いてしまいそうです。その合間にトランプネタでネガティブな報道がでると下値を拡大するといった動きで、トレーダーにとってはかなりやりにくい相場が展開中です。
上抜けが難しいとなると再度下を試す可能性も十分にあることから、決め打ちした売買は危険です。どちらかといえば107円方向を買いあがるよりはまた下方向を攻めることになりそうで、迂闊に買い向かうのも危険です。
おそらく来週のFOMCの結果までは今のようなもみ合い相場が延々と続くのかもしれませんが、下押しなら一旦大きく下げたほうが上がりやすくなるため、市場がどうしたいのかをじっくり見極めてからエントリーしてもおかしくなさそうなところに差し掛かってきています。
3月は年度末ということもあり、通常の月とは異なる為替の需給も発生しますので、月末や5～10日に関してはいきなり大きな買い切り、売り切り玉が登場して相場が大きく変動するのに巻き込まれないように注意することも必要です。
ここのところの上下動による投げと踏みの応酬でそれなりに相場は傷んでいる印象もあります。厳重な注意で証拠金を闇雲に減らさない努力をしていくことが肝要な時期です。
（この記事を書いた人：今市太郎）
