日本では4月というと新年度ということになりますが、世界的には2018年のカレンダーイヤーの第一四半期が終わり第二四半期にさしかかるところで、やはりそれなりの節目を迎えようとしていることには変わりはありません。
過去三か月を振り返ってみると米国10年債の金利が急激に上がりはじめ、3%を超えかねないほどの上昇を示現したことが挙げられます。
Data Investing com
1月の26日にはNYダウが市場最高値をつけており、そこからは債券金利の上昇を嫌気して大きく下げる結果となっています。
この3か月のドル円は年初から下落がはじまり、NYダウの下押しに合わせて下値を試すようになり、債券金利とは一時的に逆相関の動きを強めることとなりましたが、足元ではこの年度末という特殊需給環境の中で下げ止まり、一時的に107円をつけるところまで値を回復させる動きとなりました。
依然として重要な米国10年債金利推移
米株の下落はさらに進むのではないかとみられましたが、結果的に言えば米10年債金利が3%に上昇しなかったことから下落も走らず、相場全体が落ち着きを取り戻した形になってきています。
しかし一部の市場関係者は1月26日のNYダウが一連の動きのピークであるとみているようで、これをもとにしたエリオット波動論からすれば、下落はまだこれからとなる可能性が高く、4月以降の相場も引き続き下方向にどこで走り出すのかが非常に注目されることになりそうです。
米債金利が一気に上昇しなかったのは、10年債金利が上昇したことを見てかなりの投機筋がこの10年債を売りにまわったことから逆に値が下がらなくなってしまい投げがでたことも相場に大きく影響を与えてしまったようです。
ドル円も3月にさらなる下落があるとみて売り浴びせをした投機筋が多かったようですが、結局下がりきらずにショートカバーであぶりだされたことから逆に年度末にむけて大きく値が上昇する結果となってしまったようです。
ドル円のサイクル理論からいいますと一旦底値をつけたあとはそれなりの価格まで急上昇することが往々にしてあるようですから107円を超える水準まで週明け以降に値を上げる可能性も十分に残っていると言えます。
しかし、実需の輸出勢の売りがこの上の水準では相当に登場してくることになりそうですから、そう簡単に上値を追うわけにもいかない状況が続きそうですし、日足ベースでみますと相変わらず下落トレンドが発生している状況です。
こうなると4月以降も米10年債利回りがどのように推移するか次第で株価に影響があらわれドル円もそれに振らされる可能性がきわめて高くなりそうです。
イールドカーブは再度フラット化へ
ここのところ話題から遠のいていましたが米債のイールドカーブは再度フラット化を始めています。
Data FT
低金利状態の中ではこのイールドカーブのフラット化はほとんど影響なしといった見方も残っていますが、やはり長短金利がフラット化することは少なからず市場に影響を与えることになりそうで決して株式市場にとっては好ましいことではありません。
それだけにこのフラット化がこの先どうなるのか?さらに進んで逆イールドを実現するのかどうかにも注目していきたいところです。ドルは政治的に見ても4月以降青天井で上昇するような状況にはなく、とくにドル円に関しては日米の貿易交渉の過程でかなり厳しく円安誘導を米国から指摘されることは間違いないことから、具体的なレベル感は別にしても簡単に上昇トレンドがでるようなことはありえなさそうです。
ただし相場はあくまで需給ですからあまり売りにバイアスがかかってしまうと下がらなくなって跳ねることも十分にあり、あくまでもチャートを見ながらテクニカル的に合致したときに売買するといった合理性が求められます。
4月第一週は新年度入りといいながら明確な方向感が出にくいのもまた事実ですから、あせらずにエントリーの機会をしっかりと摑まえるようにしたいものです。
(この記事を書いた人:今市太郎)