昨年後半から米国FRBによるFOMCでの追加利上げ観測から投機筋がドル円ロングを驚くほど積み上げ、ドル円の下落局面でもほとんど解消しないままに推移してきましたが、とうとう3月最終週になってIMMの投機筋の通貨ポジションに大きな変化が現れ始めています。
殆どの円売りドル買いポジションが解消されスクエア状態
Data CME
CFTCが30日発表した27日時点の建玉報告によりますとCMEの通貨先物市場で投機筋のドル円のロングは3668枚と前回の2万1999枚から1万8331枚減少しています。また、ユーロドルのロングは14万1064枚と前回の13万2739枚から8325枚増加しています。
ドル円ロングは昨年末から今年3月のFOMCまでは延々とポジションが縮小しないままに積み上がった状態が続きましたが、FOMCでの利上げが決定し、ドル円が一旦104円台まで下落したことから、これまでのロングは一気に解消する動きとなり、ほぼすべて吐き出されたような状況までポジションが無くなっていることがわかります。
同時期のドル円の1時間足を見てみればわかりますが、ちょうどこの27日までの前週はかなりドル円も下押ししていますから、もはやこれまでとばかりに多くの投機筋が残ったドル円ロングのほどき売りを行い、逆にそれがドル円の下押しに寄与した可能性もあります。
さらにここへ来て戻り売りのポジションがうまく戻ることもできないままに年度末を迎え巻き戻しの買いがはいったことで大きなショートカバーになっていることもよくわかります。
ここからは再度ドル円ロングが積みあがらないと下がらない
さて、相場の状況がこういうことになりますと、まだトレンド的には下落途上にあるように見えるドル円も簡単に105円方向に再下落するとはなかなか思えなくなってきます。
ここからは当面レンジ相場を形成し、しかも一定のロングができて上がらない形を作り出してからでないとそう簡単には下押し相場にはならなさそうな雰囲気が強まってきています。
週明け火曜日以降の相場がどのような動きをするかにもよりますが、一時的にはドル円はロングで稼ぐことも考える必要がありそうで、あくまで動きを見ながらどうエントリーするかを決めていくことが重要になりそうです。
上値を明確に抑えるのは本邦の輸出勢
本邦の輸出勢はすでに6月手前までの為替の手当ては終えていますから、ここからはその先のドル売りということになりますが、現状では105円を大きく超えたレベルを社内の為替レートに設定する企業も限られることから107円台にドル円が載せてくるようですと思いほか売り玉が登場する可能性も高まりそうです。
米国は明確に日本に対してもFTAの締結や為替に関する一定の取り決めを韓国並に迫ってくることは間違いありませんから、どこかでまた大きくドル円が下押しするタイミングが登場するとは思われますが、相場はポジションの偏りに非常に左右されやすくなりますので状況次第で上昇することも視野に入れておく必要があります。
ただ、一時的に反転上昇に転じたように見えても実需の売り玉が並ぶことで上値が抑えられロングが溜まった段階では再度下落の動きがでてくるようになると思われますので、そこまで売りは一旦ペンディングする努力が必要になりそうです。
日柄的にもここからの2週間ほどはレンジを形成する可能性は高く、当面メインプレーヤーは投機筋のみということになりますから、上がれば戻し、下げてもまた戻るといった動きが主体となりそうです。
明確なトレンドがでても長続きしないのが足元の相場の特徴になっていますが、長い目で見た場合ここから上昇トレンド入りしてどんどん上を目指すような状況にはまったくありませんから、あくまで売り場を探しながら、とれとところはロングでも利益のあやとりをするといった姿勢で臨むのが得策なのではないでしょうか。
(この記事を書いた人:今市太郎)