ドル円は107円を前になかなか上伸できない時間が長く続きましたが、ようやく107円台を突破し107.500円の手前で本日の雇用統計を迎えようとしています。
米中の貿易協議がそれほど大ごとにならないのではないかという市場の期待を込めたリスクオンの状況で米株も戻してはいますが、また印象の域を出ない話であり、本当に問題が解決の方向に向かっているのかどうかはよくわからない状況です。
テクニカル的にはドル円はもう少し上方向に動く可能性は十分にありますが、輸出勢の売りも待ち構えていますからどれだけ上昇できるかが大きなポイントになりそうです。
いずれにしてもドル円は110円を抜けるほど上昇できるような状況にはありませんからここからは戻りの限界を見定めることが重要になりそうです。
米中の貿易問題もまったく解決したわけではない
ここ2日間、米中の貿易問題が話し合いで解決するのではないかといったかなり楽観的な見方が市場を支配していることから株もドル円も大きく戻る形とはっていますが、現状では高官の発言から期待されるものであり、まだ何も解決していない点には非常に注意が必要です。
中国サイドは勝利宣言を出すなど、そこはかとなく貿易戦争の匂いが漂いはじめており、完全に両国から声明が出るまでは決して安心できる状態とはいえないのが実情です。
ここからは中国側からの発言やトランプのどんでん返しのようなツイートがでれば平気で相場は逆戻りするリスクが高まりますので、つねに反対方向への動きにも対応できるようにストップロスをおくなどの準備が必要になりそうです。
トランプ発言でかなり痛んでしまった米国のIT株も大きく戻りを試すほど回復しているようには見えず、多少の戻りは試していますが、ここからビッグ5が低迷するようですとNYダウ、NASDAQともに大きな下落を引き起こす可能性が残されており、こちらも決して油断できる状況にはありません。
すべての領域でまだ安心できる状況が整ったわけえではないことはしっかり認識しなくてはなりません。
ドル円はテクニカル的に上方向を目指しそうな気配だが
暴騰でも書きましたが一旦ドル円は下押しを終了したようにも見えます。しかし材料的には上方向に青天井といった状況ではないのもまた事実であり、ここからどこまで上昇することになるのかが気になります。
一目均衡表の日足では上に厚い雲がかかってきていますから、これを抜けるのは至難の業でもあり、4月17日には安倍総理の米国訪問で貿易や為替にケチをつけれれることになれば、政治的に上値を抑えられることになりかねませんから、高いところで上値についていくのもかなり気がひける状況です。
テクニカル的には107.800円以上を完全に上抜けた場合には相場のセンチメントは確実に上昇へと転換することになりそうですが、果たしてそこまでの力が今回の戻りにあるのかどうかはとにかく相場を見ながら判断していくしかかいと思われます。
これまでもそうですが、雇用統計後にドル円が上昇したとしますと意外にもそれが高値であとは下落に転じることも多いことから上昇と決め込むのではなく、あくまで相場の状況を確認しながら動く方向についていくといった用心深さが必要になりそうです。
5月に向けては機関投資家も動き出す時期になりますが、今年は地銀が外債投資をドルコスト絡みで控えるとのニュースも伝わりはじめており、例年と全く同じような動きになるかどうかも微妙になりつつあります。
とにかく事前に思い込みで売買することだけは避けてフレキシブルに対応できるような体制をとっていくことが肝要です。
(この記事を書いた人:今市太郎)