週明けの東京タイムは案の定ほとんど相場が動かない状況で欧州以降の時間帯にどうなるかが注目される状況となってきています。
ほとんど相場は米中の貿易問題に絡む部分に焦点が集まっていることから欧米の株価がどうなるかも大きなポイントで、東京タイムでは何の手がかりもないことから株も為替もほとんど動かない状況が継続しました。
ドル円は107円台が酷く重い状況でここから108円台へと上昇するためには相当な材料が必要となりそうです。また下値のほうもかなり堅い状況で、こちらもするする105円方向には簡単に抜けそうではない雰囲気が強まっています。
とにかくここからはトランプの発言とともに中国の反応が市場に大きな影響を与えそうで、ヘッドラインニュースに突然情報がでるといきなり相場がうごきだす可能性がありますので、とくにドル円をロングする場合にはしっかり損切を入れておくことが重要になりそうです。
2月本邦勢が記録的な米債売りとの報道
直近のロイターの報道によりますと本邦の投資家筋は今年の2月に3.9兆円ほど米債を売却したようでこれは過去最大のボリュームになっているとのことです。米国債券は2月初旬の株式大暴落の前までに非常に金利が上昇する時期がありましたが、円高と債券価格の下落に耐えられなくなった本邦の地銀などが含み損を抱えて着を跨ぐことができずに大量に損切りしたことが窺えます。
ちょうどこの時期ドル円も何度も円高に振れていますから明らかにこうした本邦勢の米債売りと資金の円転が市場に大きな影響を与えたことが理解できます。
2月の時点でなぜ米国債の金利がピークアウトしたのかが不思議でしたが、こうした売りが一旦終了したことが大きく影響を与えていることは間違いないようで、2か月たって初めて相場の答え合わせができた状況になっています。
こうなると、今年4月後半以降の本邦勢、とくに地銀と生保がどこまで外債を購入するかはかなり微妙な状況で、通常4月はドル円の需要からドル高が示現することが多かったわけですが、今年はまったくどうなるかわからなくなってきているといえそうです。
とくに足元ではLONDONのLIBORの3か月金利がすでに2.3%を超える状況となっておりここ数年でももっともドルの調達コストが上昇していますから、これで米債を購入してまた価格が下がり、挙句のはての円高では全く投資妙味がない状況となるのは間違いなく、相当の本邦勢が二の足を踏むことが予想されます。
LIBOR 3か月物金利推移 YCHART
これはGPIFなどのドル円を支えてきたPKO軍団にも当てはまるもので、ここからは闇雲にドル円を買わない本邦勢が増えそうで、米国からの為替に関する圧力も相まって、ドル円の円高方向を止める向きは相当減少しそうな展開になってきているようです。
トランプを別にしてもドル安要因は満載
各企業の社内レートも3月の日銀短観では109・66円というバカ高いレベルの設定をしている企業がほとんどでしたが4月以降このレベルを間違いなく下げてきているはずですから107円の後半から108円にかけて上値が重いのはこうした実需の輸出勢がすでに7月以降を睨んで売りを出し始めていることも容易に予想されるところです。
どうもこういうことが積み重なりますと簡単にドル円が上昇すると期待するのには無理があり、テクニカル的には買い戻しが強くなりそうでもそうは簡単に相場がうごかないリスクが高まりそうです。
依然として相場の中心的な関心事は米中の貿易問題ですが、それと並行する形でドル安円高に向かいやすい材料が着々と積み上がっている点には相当な注意が必要になりそうです。
先週多くの市場参加者が一旦ドル円の下落が底をつけたことから売りから買いへと転換しているようですが、投機筋は逆に円買いに転じており、このギャップがどうなるのかも注目されます。
(この記事を書いた人:今市太郎)