日米首脳会談が無事終了したようですが、現地のメディア報道を見ていますとまったく大きくは取り上げられておらず、ゴルフのついでに雑談をした程度にしかとられていない会談であることがよくわかります。
ドル円は会談前の市場の思惑から106円台に下押ししましたが、とりあえずは107円台をキープして大きな影響もなく通過しようとしています。早朝の会談を受けてもとりあえず大きな下押しもなく、為替相場としても無事通過することができそうな状況です。
ただ具体的に何を米国サイドから求められたのかはこの段階ではまったくわからない状況で、それほど楽観的には思えないのが実情です。
北朝鮮問題では花を持たせてもらった形の日本
17日には安倍訪米とタイミングを合わせたようにトランプ政権の国務長官に指名されているポンペオCIA長官が数週間前に極秘で北朝鮮を訪れ、金正恩朝鮮労働党委員長と面会していたことが報道され、要するに安倍首相が米朝の交渉の進捗状況の説明を受けにいっただけであることがかなり明確になりました。
それでも北朝鮮に今後も圧力をかけていくことで合意などという会見内容が伝わり、何の役にもなっていない蚊帳の外におかれた日本にも一応米国サイドが花を持たせてくれていることが改めて確認された次第です。
安倍首相に対するトランプの歯の浮くようなお世辞もサービスの一環だったのでしょう。
北朝鮮との交渉については完全に米国がイニシアチブを握る形で体制の存続も北に提示しているようですから、核関連が放棄されることになるのが今後の注目ポイントになりそうですが、トランプ自体はもともろロシアが作り出したこの国への関与度を高めたいとは全く思っていないはずである程度の形が見えて着たらあとは中国とロシアとで問題を解決するように仕向けたいんは間違いなさそうです。
極東地域においてもシリア同様米軍を大量に投入して安定化に努めるといった役割をさっさと終えたいのはほぼ間違いない状況のようです。
通商問題での対日プレッシャーはこれから徐々に明らかに
国内的に窮地に立たされている安倍政権はとにかくこの日米首脳会談が成功に終わらせたいはずですから、トランプサイドから具体的にかけられた通商と為替に関する恫喝内容をいきなりあからさまにすることはないものと思われますが、坊劇不均衡を削減するという内容を連呼するトランプが具体的に何かを要求したのは間違いないはずで、その内容は今後徐々に詳らかになってくものと思われます。
為替についても具体的なドル円の水準に話が及んだのかどうかはわかりませんが、今後日本政府はますます為替の口先介入すらできない状況に追い込まれて行くことは間違いなさそうで、先日開示された米国の為替報告書によればドル円の水準は25%も安いとの指摘がされているだけに、米国が想定するドル円レートは80円台という恐ろしい水準になりかねない状況です。
足元でいきなりこのレベルに調整することを求められることはあり得ないと思いますが、貿易不均衡が改善しないかぎり為替で調整を求められるリスクは残りそうです。
会見では二国間の貿易の追求をコミットするとの文言も入っており、FTAの締結を暗にほのめかしている可能性もあり、問題はいよいよこれからということになりそうです。
政治的にその水準が決められてきた経緯をもつドル円だけにここからはテクニカル的には上昇方向があったとしても米国がドル高円安を許さない雰囲気が強く醸成されるリスクもあり、楽観視は禁物な状況です。
トランプの場合会談以降に本当のことをツイートでばらしまくる可能性もありますので、会見を受けて安堵感からい一旦は上昇するであろうドル円も足元ではそれほど上値を期待できなことになるのではないかと思われます。
(この記事を書いた人:今市太郎)