ドル円は18日のロンドンタイム以降明確に111円台に乗せる場面もありましたが、上値にはそれなりの売りもあったようで結局110円台に押し戻されたものの110.500円以下には下がらず週足でも陽線で引ける形となりました。
5月時点でここまでするする上昇するとは個人的にはまったく想定していなかったのですが様々な事業が絡んでこうした動きがでているようで、正直なところファンダメンタルズとはまったく関係ないところでドル円相場が動いていることを改めて思い知らされる一週間となりました。
日足では長いひげが出たものの週足では陽線引け
ドル円は今年3月26日に104.627円をつけてから一転上昇しはじめ、今週末あたりでかれこれ41営業日をこなしたことから、反転するならそろそろこの時期になるのではないかといった見方も強まりましたが、結局日足は長い上髭がでて111円台に乗せたままお仕舞いにすることはできなかったものの、週足では大きく続伸したことから、このままでいきますと来週もさらに上値を狙いに行きそうな雰囲気になってきています。
ただ、ここから上は相当売り切り玉も並んでいるようで111.400円から上にすんなり抜けるかどうかは結構難しそうです。
ただ、米10年債の利回りが上昇すればかなりリニアに連動して動いていくのが足元のドル円ですから、金利次第では思わぬ上昇がでてもおかしくはない状態です。
ファンダメンタルズから言えばこんなにドル円が上昇するものかと納得のいかない方も多いと思いますが、市場参加者の様々な事情が絡んでいることも今回の上昇の理由となっているようです。
ドル円の売り持ちコストが上昇し手放したヘッジファンド
ヘッジファンド勢はドル売りを継続していると金利上昇から調達コストがすでにLIBORで3か月物2.3%台にまで上昇していることからコスト面でドル売りをしていられなくなっているようで、ドル円にもユーロドルにも同様のコスト問題からの買戻しが出ていることが相場に結構大きな影響を与えているようです。
また相場が上昇しはじめるとそれに合わせてアルゴリズム取引きをするCTAなどはドル買いに走るようなので、簡単にドル円も111円をつけることになってしまったようです。
この時期にここまですんなり戻るのはどうもその理由が判然としないわけですが、いくつもの条件が重なって結果的にこうした動きになったと考えれば渋々納得せざるを得ない状況といえます。
こうなるとさらに上昇するのかどうかが気になるところですが、オーバーシュート気味に展開すれば113円方向に上伸することも一応は想定せざるをえないところに差し掛かってきています。
本邦機関投資家は今期ドル円を買わない?
ここでひとつ気になるのは本邦の機関投資家や金融機関の動きで、ドル円の調達コストが高くなっていることやヘッジのための利息が高くなっていることから、米債をはじめとする投資に今期はかなり消極的で国内の投資を先行させようとする動きがドル買い円売りにつながっていないという見方がでてきていることです。
2月~3月に向けてかなり多くの地銀などが投資に失敗した米債を投げ売りしたことから債券価格が下落し、しかもドルを円転するために円高を引き起こしたことは記憶に新しいところですが、毎年失敗するわけにはいかないこうした輩が今年は外債投資からかなり腰が引けていることもここからのドル買い円売りを支援しない可能性につながっているといえるのです。
こう見ていきますと様々な大人の事情のようなものが重なり合ってドル円相場を動かしていることが改めてわかりますが、その先にはどこかで円高シフトが待っているものと思われ、相場の転換点を見つけることがここからの取引では重要になりそうです。
1年を通じてこの5月や6月という時期はもっとも利益を稼ぎやすいタイミングですからとにかく個人的な相場感とマッチしなくてもドル円は上昇するなら躊躇なくついていくしかなく、流れが変わればまた何の臆面もなく反対売買に切り替える臨機応変さが求められる時間帯のようです。