先週金曜日の雇用統計前にトランプ大統領が楽しみにしているといったつぶやきをツイッター上にしていたことから、多くの市場参加者が買い持ちをする結果となり相場が発表前段階で上昇してしまうという奇妙な状況が示現することとなりました。
当日は真偽のほどがはっきりしなかったわけですが、週明けになって米国のポリティコに掲載された記事によりますと、クドロー米NEC委員長は慣例に従い発表前日に大統領に雇用統計の内容を伝えていたとのことで、前任のコーン委員長はさすがに危ないので事前にトランプには伝えていなかったことが明らかになっています。
トランプツイートは発表のほぼ1時間前あたりに呟かれたようですが、チャートを見ますとちょうど8時過ぎあたりからドル円はぐんぐん上昇し、多くの市場参加者がトランプツイートから好結果がでることとかなり察知してしまったことがわかります。
なんじゃそれ!という話ですが、今回わかったのはトランプツイートというのはなんのスタッフのよる事前チェックもない中で本人が勝手につぶやいているということと、この手の経済指標は事前に大統領に報告が行くものなのだということです。
つまりトランプがつぶやく経済指標はいい結果になることが多くなりそうで、とんでもない示唆を市場に与えてしまったことになりそうです。
安倍政権とはまた異なるレベルのお粗末さ
国内では公文書の改竄が行われ、議員から役人まで誰も処罰されないという非常にわかりにくい状況が展開していますが、米国の場合、こうした経済指標が発表前に政府高官から何かを示唆するような発言がでれば大スキャンダルで徹底的な捜査が行われるほどクリティカルな問題であったのに、今回はトランプ自身が口走って何のお咎めもなしという状況になっている点に批判が集まっています。
どこの国の政治家もおよそ緊張感が足りない感じが満載ですが、今後ともトランプ発言をきめ細かくチェックしていると様々な指標の先行きがわかる可能性は高まりそうで、なんとも不思議な状況になりつつあります。
FOMC結果の方向性なども知っているのか?
こうなると極めて気になるのが、FOMCでの政策決定の方向性なども事前にトランプに報告がいくのかどうかということです。
これまではトランプ~イエレンという関係は極めて希薄なものだったわけですが、パウエルという人物はトランプがイエレンをクビにして選択しただけにつながりがあってもおかしくはなく、一定の方向性が事前に報告されたり打診されたりしているのかどうかが非常に気になるところです。
今回大チョンボをしでかしたわけですから、ここからはトランプと言えども相当慎重になっていくものとは思われますが、重要指標の結果発表があるときにはトランプツイートを粒さにチェックしてみると意外なヒントが隠れている可能性はありそうです。
ホワイトハウスは今もかなりの重要レベルの高官の椅子が空いており、限られた人数で行政を回しているのが実態のようで、事細かにアドバイスをトランプ出している人間がほとんどいないことがかなり明確になりはじめています。
とくに最近閣僚でもいうことを聴かない人物はどんどんクビのすげ替えをしていますから、こうしたところでイエスマンしかいない政権ならではのほころびが見え始めているともいえそうで、実際の政権運営がかなりお寒い状況であることも見え隠れしてくる次第です。
至近に迫っている北朝鮮との会談もこの調子で進めているのかと思うとかなりぞっとさせられますが、北との会談についても今後ツイートでなんらかの示唆が得られる可能性もありそうな状況です。
(この記事を書いた人:今市太郎)