サッカー好きの方なら言わずと知れたワールドカップが14日からいよいよロシアでスタートとなります。また同じ14日というのはイスラム教のラマダンが終了になりますが、この二つは果たして相場に影響があるものなのでしょうか?
欧州勢にとってはほぼリアルタイム視聴ができるロシア大会
今回のワールドカップロシア大会は11都市で開催されることから開催地によって若干時差がありますが、欧州勢にとってはほぼリアルタイムで視聴できることから現地時間の昼過ぎから夜に向けては重要な試合があればどうしても売買がおろそかになることが予想されます。
イングラド、フランス、ドイツなどの主要国はすべて参加していますから当然当該国の試合がある時間帯はスカスカになりそうで、今回の大会に関しては欧州取引時間帯とNYタイムにそれなりの影響を及ぼしそうな気配です。
幸か不幸かサッカーは順次予選で敗退していきますから、欧州勢がどこまで残っていくかによってこの影響が大きく出るか出ないかが決まることになりそうです。
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ラマダンは中東よりもアジア圏に大きな影響
一方ラマダンはイスラム暦第9月のことを指し、この時期断食が行われることで有名になっています。今年は5月15日から6月14日までがこのラマダンにあたっており15日から通常の生活に戻ることになります。イ
スラム教徒というと中東に多いようなイメージが強いものですが、実際に教徒が多いのはインドネシア、パキスタン、インド、バングラデシュ、エジプト、ナイジェリア、イラン、トルコ、アルゼンチン、モロッコがベスト10に入っており、圧倒的にアジアのほうがラマダンを迎える教徒が多いことがわかります。
こうした国が主流ですから欧米の株価や為替には影響がないというのもわかりますが、逆に原油価格はこの時期に下がるのがアノマリーとなっています。
Data Chart広場 https://chartpark.com/wti.html
ちなみに今年はどうであったかといいますと、5月15日を超えるあたりから確かにWTIの原油価格は大きく下がり始めて、足元では多少回復がはかられようとしている状況です。
もちろんこれはOPEC加盟国が増産するだの減産するだのといった状況が色濃く市場に反映しているわけでラマダン起因で相場が下落しているわけではありませんが、アノマリーとしては過去20年でも必ずこの時期に相場が下がりやすいことだけは間違いないようです。
これまで原油価格とドル円というのは逆相関の関係にあったことから為替にもそれなりの影響があったのは事実ですが、足元ではこの逆相関性が崩れたことから原油と為替の関係を見るのもなかなか難しい状況です。
ただ、原油価格の上昇は確実に株価にも影響を与えることになりますから、ラマダン明けに原油価格が再上昇するのかどうかにも注目が集まります。
ということでこの二つのイベントを概観してみますと、ラマダン明けのほうはあまり相場には影響がなさそうですが、サッカーのほうは試合の実施時間にあわせて閑散とする時期が生じることはありそうで、アジア勢は時間的にはほとんど影響をうけませんが、欧州時間帯とNYの午後あたりは相場が薄くなることも想定しておいたほうがよさそうです。
積極的な取引が手控えられますと為替相場は動かなくなることが多くなりますから、欧州時間帯以降は当分ポジションの持ち方にも気をつけた対応が望まれます。ワールドカップのほうは7月15日まで継続しますから結構長丁場になります。
試合の組合せによっては7月に入ってもすっぽり取引きが薄くなる時間が出てきそうですので、サッカーに興味がなくてもどこの国のチームが勝ち進んでいるか位は興味をもっておいたほうがよさそうです。
(この記事を書いた人:今市太郎)