怒涛の一週間が過ぎ去り、相場は18日からリセットといった雰囲気です。
ただ、思い返してみますと、ドル円はそれほど驚くほど動かなかったわけですが、ユーロドルは必要以上に相場が反応してしまった感があり、この動きが一旦終焉するのか対ドルで1.15割れを目指すのか次第でドル円にもかなり大きな影響が出そうな一週間です。
1時間足でみるとなかなか111円台に乗せられなかった一週間がわかりますが、日足チャートで純粋にテクニカルだけでみると上値を再度試しそうな雰囲気も残っています。
ただしファンダメンタルズの材料を見ますと、果たしてそんなにドル円が調子づいて上昇できるのかどうかはかなり疑問で、ユーロの影響次第の部分がやはり大きそうです。
クロス円の押しに影響をうけるドル円
ユーロドルの下落はドル円の上昇につながりやすいのは事実ですが、先週あらだけ激しくユーロが対ドルで下落してもドル円は111円台に乗らなかったことを考えると上値を押させるのはむしろユーロ円の可能性があることも意識しておいたほうがよさそうです。
ユーロドル1時間足
ユーロ円1時間足
ユーロドルとユーロ円の1時間足のチャートは、見間違えんばかりにほとんど同じ動きをしており、まさにユーロが下落していることがわかります。
ただ今週は中国と米国の貿易問題を巡っても円高が進みやすそうであるため、ユーロの下落でドルが買われてもドル円だけ同じような動きをしないリスクも考えておく必要がありそうです。
米国の金利上昇と米中貿易戦争にも注意
年内にほぼあと2回の利上げを織り込む形となった米国の債券市場がどのように反応するのかも注目が集まります。金利上昇の影響は国民生活に確実に影響を与えており、賃金が上がらない中での金利上昇がプラスに働かないのは間違いない状況です。
足元では失業率に異変が起こらないかぎりすぐに株式相場が暴落することはなさそうですが、すでにハイテク株とトランプの関税政策に影響を受けない小型株しか上昇しなくなくなっているのも確かで、金利の上昇に株式市場が悲鳴をあげはじめるかどうかも注目されるポイントとなりそうです。
足元ではVIX指数が上昇しないかどうかとジャンク債の市場に大きな変化が現れるかどうかが炭鉱のカナリア的な役目を果たしそうですが、フラッシュクラッシュのような下落はいきなり到来しますので、兆候がわからない可能性もあるのでかなり注意が必要です。
さらに米中の貿易戦争では株価の下げは一時的に収まっていますが、戦いはまだこれからの様相を呈していますので、こちらもIT業界を挟んでお互いに関税合戦がエスカレートした場合にはNASDAQの株価を含めて大きな影響がでるリスクがあり心配です。
市場では材料出尽くしでドル円も上方向が基本とみる向きが多くなっていますが、その一方で着々と下落の材料も整い始めており、本当に何事もなく推移できるのかが個人的には非常に気になるところです。
トランプ大統領は足元ではあまりうるさくドル高をけん制しなくなってきています。
これは貿易問題で関税をかけると消費者物価にいきなりその影響がではじめることを想定してドル高で物価の上昇を抑えることを想定している可能性も出てきていますが、いずれはドル安を志向することは間違いなく、どこで横やりを入れてくるのかにも注目したいところです。
最初から動きを断定してそのシナリオを履行する必要は全くありませんが、上昇材料と下落材料をよく織り込んで相場の動くほうにトレンドフォローでついていくのが危なげのない取引になりそうです。
ただドル円のロングについては時節柄つねにトレーリングストップを入れるなりまさかの時の対応を考えておくことが依然として重要になりそうです。
(この記事を書いた人:今市太郎)