6月のFOMCの結果を受けてほぼ今年は年4回の利上げが見えてきた状況ですが、市場では米2年債と10年債のスプレッド差がますます縮小しつつあり、このままでは秋を待たずに逆イールドが示現しかねない状況になってきています。
米10年債金利はさすがに強烈な売り持ち枚数が残っていることから金利上昇では買戻しがでており、簡単に3%以上には上昇しなくなってしまっていますが、さすがに短期金利は政策金利の上昇にリンクする形で持ち上がりはじめており、本当に秋口を待たずにフラット化からさらに逆イールドが示現する可能性が日々高まりつつあります。
10~2年債のスプレッド差は0.38%にまで縮小
Data Y chart https://ycharts.com/indicators/210_year_treasury_yield_spread
足元での10年債と2年債のスプレッド差は0.38bpとリーマンショック前の水準を下回り始めており、かなり強くリセッションを示唆する状況になってきていることがわかります。
金利水準自体がまだ低いのだから問題ないと言った見方も市場には根強く残っていますが、給与水準が上がらず、可処分所得が増えない状況で金利だけが上昇する今の経済状態は確実に消費意欲を減退させており、大型減税で消費者に還元されたはずの所得の戻しはすでに金利の上昇がほとんど喰ってしまっているという厳しい調査結果もではじめています。
本格的リセッションは2019年でも株は早めにそれを示現
株価は市場の変化を先取りするバロメーターとして機能しますから、リセッション自体は2019年にやってくるとしても株式相場はそれよりはるか前に低迷し始めるリスクが高まりそうです。
また足元で中国をはじめ同盟国にまで強烈な関税政策を打ち出しているトランプ政権のやり方が株式市場になんの影響も及ぼさないはずはなく、昨日の東京タイムの入り鼻に対中国の追加関税策を示唆するトランプの言動が報道されてからは世界の株価が大きく下落しはじめており、NYダウも300ドル以上の下落を示現しています。
金利の上昇で資金が想像以上に早く米国へと戻ろうとしている新興国市場も含めて、相場が早晩癇癪を起して大きく下げる事態に直面する可能性もかなり高まりつつあります。
さすがにこの夏を相場は乗り切れないのでは?
6月に関してはまだ大幅下落の兆候は見られないというのが大方の市場の見方ですが、ここから夏にかけての薄商いの時期に想定を超えたフラッシュクラッシュが示現するリスクは十分に考えられそうで、つねに下方向に相場が向かう可能性を考えながら取引することが重要になりそうです。
実際運用をしているファンド勢も相当ここからの相場に慎重になっているようで、市場経験の長い人間ほどどうもおかしいと思い始めているようです。
いきなり相場へのエントリーをやめて様子を見たほうがいいとまでは言えませんがどうこの相場でリスクを軽減するような売買を行って凌いでいくかということは結構大きな課題になりそうです。
すでに一昨年あたりから相場が危ない危ないと言われはじめていて、結果ここまで大した暴落もないままにやってきているわけです。
しかし、米欧の中央銀行が明確に金融引き締めに動き始めている事に加え、米国ではあらゆるトランプの政策がインフレにつながるような内容になっていること、さらに昔ならとっくに世界大戦になるような保護主義政策が跋扈する市場ですから、ここから何事もなく今年の相場が終了するとはとても思えない状況です。
ここからはそれぞれのトレーダーの方がどう市場に向き合うか次第でその対応が変わってくるのだろうと思います。
相場の大幅下落や暴落といった事態はそれが来そうだからと怖がっているでけではまともな社会生活は営めません。FX投資もそれと同じでとにかく前に進めていかなくてはなりませんが、いつまさかの事態が来るかわからず、それが来た時にどうするかだけは事前の準備とともに相当考えておく必要があるということなのではないでしょうか。くれぐれも慎重な取引を心掛けていただきたいと思います。
(この記事を書いた人:今市太郎)