11日、12日の両日ブリュッセルでNATO首脳会談が実施されますが、これまでそれほど世界的には注目されなかったこの首脳会談、今回は大荒れになりそうな状況となってきています。
トランプ大統領がNATO加盟国に「もっと金を出せ」と恫喝をかける場になることがほぼ間違いなくなってきていることから、相当揉めることになりそうです。
しかし、問題はその後に米露首脳会談も控えていることから、このタイミングをターニングポイントとして相場が大きく転換してしまうのではないかといった弱気の見方も飛び出しており、来週さ来週に向けて非常にその動向が注目されるところとなってきています。
トランプは世界の安全保障の担い手から完全撤退の意向か
6月トランプ大統領はNATO加盟国の首脳らに国防費の増強を求まる書簡を送っていたことが明らかになっており、直近でも米国は「世界の貯金箱」にはなれないと発言しており、完全に世界の安全保障のために米国が積極的に金を払う姿勢を大きく後退させようとしています。
先般のG7でもドイツメルケルとのにらみ合いが話題になりしたが、欧州の安全保障はEU各国が勝手にやれという話が明確に顕在化してくれぼ米欧関係は最悪の状況になることが考えられます。
一方トランプはこの会談で大もめしておいて16日にプーチンとの米露会談に臨む予定であり、ロシアとも話をつけることで中東からも撤退する意向を強めることになるものと思われます。
また北朝鮮という国はソ連が作ったようなものですから、北朝鮮問題でもある程度手を打つことができれば、本格的に世界の安全保障問題から米国が完全に手を引く、あらたなアンチグローバリズムの構図が示現することになりそうで、ここからの提示的な動きがきわめて注目されることになりそうです。
ヘッジファンドは資金の巻き戻しを急加速中
こうしたトランプのグローバリズム完全終焉作戦は米系のヘッジファンドも十分に意識しているようで、足元では新興国や中東、欧州に及んでいた投資資金が猛烈な巻き戻しで米国にレパトリエーションする流れになっているようです。
実はこれが直近のドル高の大きな原因なのではないかという話もあり、7月中盤からは株も為替も相場のセンチメントががらりと変わることに相当警戒すべき状況のようです。
そうでなくても中国と本格的な貿易戦争入りをしようとしているわけですから、人によってはトランプの今のやり口は完全に世界無血戦争に突入しているという厳しい見方もではじめています。
まあそこまで極端なものにはならなくても確かに20世紀初頭なら完全問題だけでも世界大戦になりかねない状況ですから、グローバリズムから完全撤退しようとするトランプによるパラダイムシフトに多くの国がネガティブな影響を受けようとしていることは間違いなく、ここからは決して安穏とはしていられない状況です。
ヘッジファンドの身構え方は異常なほど
ここのところ世界のあらゆる市場において、まさかのときの相場下落を想定してヘッジ売買が盛んに行われています。
株も為替もコールよりはプットオプションの売買が盛んであり、相場の方向感がよくわからないのでとりあえずオプションを買ってみたというような単純な話よりも下落方向に向けて多くの市場参加者が強くリスクを意識していることがわかります。
今回のNATO首脳会談から米露首脳会談を経て何か決定的なことが起きるのかどうかはすべてが終了してみないとわかりませんが、株を中心として金融市場が先取りして嫌気した相場展開になることは十分に想定されるところで、シーズナルサイクルとも連動してそれなりの下げ相場が加速するリスクは常に意識しておく必要がありそうです。
(この記事を書いた人:今市太郎)