13日のドル円は東京タイムが終了した直後のロンドンタイム入り、更に上伸し「112.800円」をつけるところまで行きましたが、どうやらここから上は本邦の機関投資家の売りもかなり厚かったようで、簡単には「113円」を乗り越えることができずに、週末の利益確定売りもあって結局「112.300円台」に週の取引を終えています。
ドル円1時間足
ドル円の1時間足で見ますと、既に上昇の始まった11日の「110.767円」からちょうど2円程度上方向に上がった形で、111円から見ても1.8円の上昇となったことから今後さらに上伸するとしても一旦押し目をつくる可能性は高くなりそうです。
上昇相場自体はまだ若い状況ですから、ここからさらに上を目指す可能性は充分にあり、上値余地もまだ残されているといえます。
中国人民元安にドル円が使われた可能性も
今回のドル円の突然の上伸については様々な理由が語られていますが、一つの仮説として浮上し始めているのが「中国人民元安を示現させるため」にドル円が使われた可能性がではじめてきています。
12日の「London Fix」が終了した直後の日本時間午前0時半ぐらいから、ドル人民元がぐんぐんドル買いで上昇し、人民元安が進行しました。
この時間帯にドル円もずっと超えられなかった長年の抵抗ラインの「111.500円」を超えたわけですが、ドル人民元を買って、さらに人民元円を買う形にすれば、結果ドル円だけが上昇することが十分にありうるわけで、中国人民銀行にいいようにドル円が使われてしまった可能性も否定はできません。
今回のドル円上昇はファンダメンタルズをすべて差し置いて、テクニカル的に上昇に多くのストップロスが出た形となりましたが、テクニカル派はすでに118円以上のレベルまでの上昇が考えられると強気の発言をしています。
しかし、足元の上昇を誰が支えてきたのか次第で、ここからの動きが継続するのか、一旦終わるのかが決まってきそうな気配濃厚となってきています。
チャートの実証性というのは、FXトレードではもっとも重要なものになりますが、ドル円の場合、下落が始まるとすぐに100円割れの話が飛び出し、上がり始めるとまた125円を目指すのかといった現実味に乏しい話しが跋扈してしまうのはいささかいただけない状況です。
よりリ「アリスティック」に相場の先行きを考える必要があるのではないかと思う次第です。
すでに昨日でも「112.700円台」で買ってしまったポジションは、投げさせられている状況ですから高値掴みは相当に注意する必要があることは言うまでもありません。
自信をもって思い込まない努力が必要
相場は一旦方向感がではじめると一気にその方向へ動き始めるものですが、皆が同じ方向を向き始めると大概その方向には大きく動かなくなることが多く、今回のように「111.500円超」から、ほとんどの市場参加者が上方向を睨んだ取引を始めると、意外に相場は上昇しないで終息することが多い点にも注意が必要になります。
とくにCTAのアルゴリズムは方向がでた途端に必要以上に買い上げるようになってきているため、まだまた強い上げと思ってついていくと、意外なところで相場がとん挫することもある点には相当注意が必要となります。
すでにこのコラムでもご紹介しているとおり、過去10年のドル円は7勝3敗で7月は月足で円高になっていることから、アノマリー的には必ずしも上昇する形にはなっておらず、サマーラリーがはじまったのかどうかはまだよくわからい状況といえます。
もちろんトレンドフォローが一番儲けを確保しやすい売買手法ですから、素直に流れについていくのが重要ですが、あくまでも欲張りすぎずに適度に利益を確保しながら次の様子を見るといった方法を進めていくことが重要になるのではないでしょうか。決め打ちしすぎは失敗のもとです。
(この記事を書いた人:今市太郎)