9日週のドル円は前半モラトリアムな動きを続けていましたが、11日に突然ここ数年の抵抗ラインを上抜けてから大きく上伸しはじめ、完全にテクニカル的な要素で112円台後半まで値を伸ばす動きとなりました。
理由は色々と語られていますが、正確なところはわからない「複合的要因」が重なってこうした上昇を示現したものと思われます。たださすがに短時間で大きく上層したことから、一旦利益確定売りにも押される形となって「112.300円台」から週明けを迎えることになります。
16日は東京タイムが休日ですから、朝は大きな動きにはならないと思いますが、一旦112円台前半まで下落してきたドル円がどこまで押し目をつくるかに注目したいところです。
ドル円4時間足
ドル円の4時間足でみますと一旦垂れてきている感じですが、センターライン付近で戻して上昇すれば、少なくとも113円中盤までは間違いなく上昇しそうで、果たしてこの動きがいつまで続くのかに関心が集まります。
テクニカルアナリストの連中は一旦レジスタンスラインをブレイクしたことで、かなり上方向まで視野に入ったような話をしていますが、ドル円は極めて政治性の高い通貨だけに、そう青天井が見えているわけでもなくある程度の上昇により、今度は一気に反転するリスクが常にあることだけは意識しておく必要があります。
それだけにあまり高いところでロングをとらない工夫が必要になりそうで、ダメなら一旦損切りして入りなおすといった臨機応変な対応も必要になります。
ファンダメンタルズ的に見ると何の支援もないドル円上昇
為替相場は理論的な理屈通りに動かないことは頻繁に起こるものですが、それでも相場の上昇には我々がわからないところでしっかりとした原因があるものです。
その原因がなにかの拍子に外れるようなことになりますと、相場はいきなり反転することが考えられるだけに、常に皆が意識している方向と反対の方向についても、それなりに意識しておくことが重要になります。
残念ながら足元の相場はファンダメンタルズ的に見ますと、ドル円の上昇を支援するものはほとんどなく、金曜日のNY市場でも材料が出尽くして、米国の10年債利回りが下落し始めますと、徐々にドル円相場が下がる局面もありましたから、テクニカルだけで一方向に上昇しっぱなしと考えない方がいいのかもしれません。
米露首脳会談でサプライズ発言が飛び出すのにも注意
16日はヘルシンキにてトランプ、プーチンの「米露首脳会談」が開催されます。
今のところどんな会談になるのかはよくわかっていませんが、妙に和む形で米国が中東や東アジアの北朝鮮をロシアに任せるようなニュアンスの話になれば、相場の反応もかなり微妙なものになることが考えられ、果たして市場がどう対応するのかが気になるところです。
トランプとしては「NATO首脳会談」で散々欧州をかき回した挙句にプーチンと会談を行うわけですから、何かの落としどころが米露にとって都合のいいものでも、欧州や他国にとっては必ずしも心地いいものでなくなるリスクもあり、一体どういう声明がでるのかは気になるところです。
また一転して融和的な状況ムードが消えた場合には、それはそれで問題になるのは間違いありませんから、この会談を受けた相場の状況にはかなり注目していところです。
米国としては金ばかりかかる世界の安全保障の場から撤退したいと考えていることは間違いありませんので、内容次第では米国主導のブローバリズムの記念すべき終焉ともなりかねないところにあり、なにより市場の反応が注目されます。
今週はパウエル議長の議会証言も17日に控えており、ハト派的な発言が目立った場合には市場が憶測する利上げの加速と逆の動きになり、債券金利が大きく下がることも考えられます。
すでに夏安ムードも高まっていますが、今週の相場にはかなり注意が必要です。
(この記事を書いた人:今市太郎)