今月11日あたりから突然ここ2~3年のレジスタンスラインを突き抜けて、上昇しはじめたドル円でしたが、NYタイムの午後、東京時間の土曜日早朝3時前後に、とうとうそのレジスタンスラインまで戻ってきてしまい、しかもそれを一旦下抜けるという行って来いの上昇完全終了相場を示唆する動きを示現してしまいました。
こうなると直近の下落の起点となった「112.456円」レベルから見た場合半値戻ししてもすでに112円には届かない状況で、当然戻り売りが厳しくなるでしょうし、なによりロングにドテンした個人投資家がまたしてもお家芸とも言える「損切しない取引」でポジションをしこたま上方向に持っていることから、そう簡単には上昇しない相場になってしまいそうです。
個人的には大きな下落は来週と想定していたのですが、どうもそこまで持たずにトランプ砲にあえなく撃沈する格好になってしまったようです。
この間、かなり頻繁にドル円の状況を毎日アップデートさせていただきましたが、結局なんでここまで上昇してしまったのか、またあっさり下落したのかを考えると、寝られなくなりそうな1週間あまりの複雑相場であったと改めて印象付けられる次第です。
ドル円日足
木曜・金曜はすっかりヘタってしまった相場
先週からのあれよあれよという間の上昇に比べますと、113円をつけてからのドル円相場はかなりヘタり気味で20日の東京タイムは仲値が5-10日にあたったことから、112.600円レベルまでは上昇したものの、チャートのプライスアクションを見ていてもとてもではないですが、113円台にまで戻すような勢いは一切感じられませんでした。
その後日経平均がドカンと大きく値を崩す場面があり、中国人民元の下げが嫌気されたという報道が伝わりましたが、これまで散々下げても殆ど無反応だった相場がなぜこの日に限って人民元の下げを猛烈に嫌気したのかもうひとつ理解に苦しむ状況となりました。
またこれまでドル円上昇要因に「人民元の下げのヘッジのためのドル買い円売りがでている」というアナリストの説明もありましたが、結果的に市場ではドル円の買いはヘッジ機能を果たすことなく下落に転じてしまい、この説明もかなり嘘に近いものになってしまいました。
市場はドルしか買う余地がなかっただけか?
トランプの言動に対するリスク管理という意味も含めて、ここのところの為替相場はドルを買う以外に取引の余地がなかっただけなのではないかということも非常に強く感じられる次第で、トランプ発言でリスクオフになると結局ドル円は円高方向に動くこともあらためて再確認できたところです。
足元ではNYダウは大きく下落しておらず、米10年債金利も上昇局面にあるわけですがドル円が大きく下落し、ユーロドルがかなり大幅に買戻しされている相場となっており、米債金利も相場には影響を与えていない状況です。
相場の現実は説明のつかない動きがでることも多々あるわけですが、今回はテクニカル的にレジスタンスラインを超えたので思い切り買いあがった向きがストップロスをつけまくってとにかく113円まで押し上げただけで、ストップロスハンティングが続かなくなった113円でこの上昇はあえなく終了というのが正確な説明なのかも知れません。
来週一週間でいよいよ8月相場になりますから、ここから11日と同じ動きを再度行って113円台に乗せていくとはちょっと想定できないものがあり、今回のドル円上昇も一旦は終了なのではないかと思われます。
この原稿を書いている段階では週末の相場は終了していませんので、終値ははっきりわかりませんが、来週はさらに厳しい相場になることも予想されます。
7月のアノマリーから考えますと月初の110.700円を下抜けて陰線引けで終わる事すら想定されそうで状況はいきなり大きく変化してしまっています。
日経平均も同様で7月は例年陰線引け、8月はさらに下落がアノマリーですから、ここから高値を更新していかない可能性のほうがかなり高まりそうです。
すっかりサマーラリー期待をさせた7月前半相場でしたが、幕切れは意外に早くやってきた感じです。もちろん相場のことですから断定は禁物でここからさらに戻していくこともない話しではありませんが、日柄的にも一勝負は終了した感があります。
(この記事を書いた人:今市太郎)