今週2日はBOEのMPCが開催され、ようやく利上げが行われることになるかどうかに注目が集まっています。利上げの問題もさることながら「BREXIT」が本当に完結できるのかどうかを、いまだにもめており、事態はますます混沌としてきているようです。
先日閣僚が二人も辞任したものの、なんとか恰好をつけて夏休みに突入した形となっているメイ首相ですが、実はまだまだこの先どうなるのかがよくわからない状況のようで、為替相場にもこれから大きな影響が出ることが予想されます。
この夏にかけてUKがどのように動いていくのかについては、直接ポンドの取引をしないトレーダーも関心をもってチェックしておくべき状況です。
スカイニュースが実施した世論調査が興味深いものに
7月30日英国のスカイニュースが実施した世論調査の結果が発表されましたが、英政府が「EUと合意する離脱」「合意なしの離脱」「EU残留」のいずれかを選ぶ「国民投票を支持する」という回答がなんと半数以上にのぼっており、この場に及んでまた国民投票をやらかす可能性も出てきているのです。
こうした国民投票の実施に反対するとの回答は40%、分からないと答えたのは10%となっており、やはり最終的に国民に判断を問うやり方を支持する人が非常に多いのが気になるところです。
またメイ政権によるEUとの離脱交渉が適切でないとの回答は有権者の78%に上り、3月時点の水準から23%ポイント上昇しております。
メイ政権の交渉が適切だとの回答は10%となっていることから、足元で同首相が思案している「ソフトブレグジット」に不満を持つ層がかなり多いこともわかります。
もっともクリティカルなポイントである、メイ政権が進める「合意に基づく離脱」「合意なしの離脱」「EU残留」の3つの選択肢に関しては、48%がEU残留を選ぶと答えた一方、合意なしは27%、合意ありは13%ということで、この結果が正しければ今国民投票を実施した場合、EU残留が巻き返すという驚くべき事態が起きることもありうるということになります。
メイ首相は就任当初からずっと「国民投票を再実施することはない。」と頑なな姿勢をとってきましたが、ここまで何も決められない状況となるとまさかの再投票を実施する可能性も全く捨てきれないところにあるようで、この夏休みの間になにか動きがでるのかどうかが注目されます。
EU残留となれば猛烈なポンド高に
ここからはすっかり「たられば」の話になりますが、もし国民投票が再実施され、しかもその結果が「EU残留」などということになるとポンドは2016年6月に下落した窓を完全に埋める動きになることは間違いなく、ドル円もポンド円に引きずられて驚くほど上昇する可能性がでてきてしまいます。
いまのところ国民投票が行われると決まったわけではありませんから、あくまで仮定の話ということになりますが、ここからポンド円が10円以上爆騰した場合には、ドル円も相当つられて上昇することになります。
足元のレベルからならば115円超、117円などといったまさかの展開もまったくないわけではなくなります。国民投票をどういうタイミングで行うことになるか次第でも結果は色々と変わることが予想されますが、まったく予想だなかったポンドの巻き返しの動きが多くの通貨ペアに多大な影響を与えることになるという点だけは一応頭の中に入れておいたほうがよさそうな状況です。
逆に交渉時間切れとばかりに何の条件もなく、そのままEU離脱という話になると、ポンドが相当売られることになるリスクもまだまだついて回ることになり、今年の秋から来年にかけて、意外な隠れた相場を動かすドライバーとなる点には常に注意しておく必要がありそうです。
(この記事を書いた人:今市太郎)